研究課題/領域番号 |
18K11530
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
山崎 友義 宮崎大学, 医学部, 研究員 (50586609)
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研究分担者 |
串間 宗夫 宮崎大学, 医学部, 研究員 (00727414) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 介護記録データ / テキストマイニング / 電子介護記録 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、要介護度に対応した電子介護記録作成を可能にする介護記録用辞書の開発である。当該年度の当初計画では、介護老人保健施設の現場で生じる膨大な介護記録データ(以下、介護ライフログ)を集積し、その内容の分析(テキストマイニング)を実施することであった。介護記録からのデータ抽出は宮崎大学医学部附属病院が運営管理している宮崎市立田野病院に併設された、さざんか苑で記録されている介護記録を用いる予定であった。その成果を初年度で発表した。しかし、31年度の研究目的は、標準的介護記録辞書のベースとなる仮説辞書の構築であったが、新型コロナ感染症による行動制限により、昨年の1月後半からの介護実務者との検討が十分に行えなかった。この結果、業務内容と整合性が合致した用語を仮説辞書から抽出し、当該年度の目標である標準的介護記録辞書の構築する予定が遅れた。この遅れにより、構築過程で用語と業務内容を整合させる手法を可視化し、辞書改正手法のガイドライン作成も困難であった。令和2年度は新感染症の影響を最小にするため、ネットミーテイングによる介護実務者との協議による業務内容と整合性が合致した用語を仮説辞書の構築を予定していた。しかし、令和2年4月より、さざんか苑の介護方針が、施設介護から在宅介護支援に変更され、リハビリテーションを中心とする介護内容の変更があった。このため、従来の介護用語と異なる語彙が使われているため、今までの研究で蓄積された介護記録辞書では、対応が困難になった。研究成果として、英語論文として、3本、日本語論文を4本を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由として以下の2点がある。 新型コロナ感染症の行動制限により、介護施設への訪問や介護実務者とのミーテイングが困難であった。そのため、仮説介護記録辞書から実務的介護記録辞書の構築ができなかった。 対象施設であるさざんか苑は、令和2年4月から、入所による施設介護から、リハビリテーションを中心とする在宅介護に介護方針を変更した。変更により、入所介護で蓄積した記録データの内容と大きく異なる語彙を含む記録がデータとなった。本研究では、入所施設で用いられる電子介護記録に必要な辞書作成であったため、研究計画の大幅な変更が必要であったが、令和2年度内ではできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度で研究を終了する予定であったが、46万円の未処理の予算が残った。これを用いて、リハビリテーションを中心とした在宅支援の介護辞書の作成を考慮したが、新型コロナ感染症に対応するワクチン接種は令和3年末までの時間を要する。この期限では、リハビリテーションを中心とした在宅介護の電子記録に必要な介護辞書作成は困難である。このため、令和3年度まで延期した予算を用いて、初年度に構築した仮説辞書と、その収集に用いた記録を最新のテキストマイニングで処理し、仮説辞書内容と介護記録との整合性を確認する計画である。この手法を確立することで、介護記録から介護辞書作成の精度を向上させることが可能であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症による行動制限が長期間続き、対象である介護施設でのデータ収集が困難であった。さらに、研究成果を発表する学会等は全てネット発表であり、旅費を使用する機会を生じなかった。このため、最終年度の経費に余剰を生じてしまった。 この余剰経費を用いる研究計画の延長を申請し、許可された。延長期間で、今まで収集した調査データを用いて、新たに開発されたテキストマイニング手法による電子介護記録で利用できる介護辞書を作成する予定である。
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