研究課題/領域番号 |
18K11538
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
青野 修一 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00803892)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 疼痛問診システム / 医療情報 / 疼痛の評価法 |
研究実績の概要 |
本研究では、慢性疼痛患者を対象に、眼鏡型アイトラッキング装置を装着し、タブレット端末を用いた質問紙への入力時の注視行動パターンについて測定する。健常者と比較し、慢性痛患者の質問回答時の注視行動の変容について明らかにする。また、分析結果を元に、各質問への回答に必要な時間の適切な指標(信頼区間)を作成し、簡易的に疼痛関連質問紙に対する回答の信頼度を評価する手法法を確立し、問診システム及びスマートフォンアプリケーションへと応用することを目的としている。 2019年度は以下の研究を行った。 1. アイトラッキングデータの取得と分析: 健常者を被験者として、眼鏡型のアイトラッキング装置を装着し、タブレット端末を用いた質問紙への回答時の注視情報を取得した。質問紙には、痛みに関連する一般的な質問及び、既存の評価質問紙(痛みの強さの評価、痛みと活動性に関する評価、心理的ストレス評価、痛み認知に関する評価、自己効力感評価、健康関連QOLの指標、不眠評価、運動機能評価)を用いた。被験者のアイトラッキングデータの分析には解析ソフトウェアを用いて注視点の軌跡、注視空間及び時間の解析を行った。アイトラッキング装置で同時に録画した映像を元に各質問に回答する際の質問文章・回答項目の注視時間及び回答間隔時間を抽出し統計分析を行った。今後は、慢性疼痛患者を対象としたデータ収集・分析を重点的に進め、健常者群と慢性疼痛患者群での信頼区間の比較を行う。 2. 質問紙プログラムの改変:これまでの痛みセンター受診された慢性疼痛患者の初診時質問紙と事前質問紙のうち、同様の内容を尋ねた項目を比較し、回答の変化・信頼度を調査した。今後、その信頼度と、その後のドロップアウトや治療介入成績との相関について検証し、質問紙プログラムの改変・実装を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常者を対象としたデータ収集については順調に検討が進んでいるが、慢性疼痛患者を対象とした注視情報の取得・検証については、認知面の評価も合わせて行う必要があり、まだ不十分である。より効率的な研究を実施するため、これまでに蓄積されている疼痛情報を用いた解析を研究計画に組み入れることを検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、慢性疼痛患者を対象としたデータ収集・分析を重点的に行い、更に以下の課題を遂行していく予定である。 1. 信頼区間の算出: 健常者群と慢性疼痛患者群のデータを元に、質問紙への回答の信頼区間を算出する。 2. 信頼度の算出: これまでに蓄積されている痛みセンター受診患者の情報を活用し、より簡便に効率よく信頼度を算出できる手法を提案する。 3. 質問紙プログラムの改変: 問診システムに、質問紙毎に信頼度が算出できるようにプログラムの改変を行う。実際の臨床場面での使用を想定し、システム全体のブラッシュアップと精度を高め、現場に即した問診プログラムの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者(慢性疼痛患者)データの収集・解析及びプログラム改変にあたり、認知面等検討すべき課題が見出されたため次年度使用額が生じた。 課題を検討後、研究を遂行する予定であり、データ収集・解析及びプログラム改変を行うための物品費及び人件費・謝金、成果物論文の投稿料としての使用を予定している。
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