本研究では、慢性疼痛患者及び健常者を対象に、眼鏡型アイトラッキング装置を装着し、タブレット端末を用いた質問紙への入力時の注視行動パターンについて測定する。 健常者と比較し、慢性痛患者の質問回答時の注視行動の変容について明らかにする。また、分析結果を元に、各質問への回答に必要な時間の適切な指標(信頼区間)を作成し、簡易的に疼痛関連質問紙に対する回答の信頼度を評価する手法法を確立し問診システム及びスマートフォンアプリケーションへと応用することを目的としている。 2021年度は以下の研究を行った。1. アイトラッキングデータの取得と分析:昨年度に引き続き、健常者を対象に眼鏡型のアイトラッキング装置を装着し、タブレット端末を用いた質問紙への回答時の注視情報を取得した。質問紙には、痛みに関連する既存の評価質問紙(痛みの強さ評価、痛みと活動性に関する評価、心理的ストレス評価、痛み認知に関する評価、自己効力感評価、健康関連QOLの指標、不眠評価、運動機能評価)を用いた。被験者のアイトラッキングデータの分析には解析ソフトウェアを用いて注視空間及び注視時間の解析を行い、健常者のデータをもとに質問紙回答の信頼区間を算出した。2. 質問紙回答の信頼性に関する調査:慢性疼痛患者を対象に、同様な質問を複数用意し、続けて回答した場合の一致率について調査した。また、一致率と患者背景について検証して、回答への信頼性が落ちる患者の特徴について明らかにした。 上記の最終年度の成果をふまえて、問診プログラムのブラッシュアップを行い、臨床現場に即したシステムへと改変作業を実施した。
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