研究課題/領域番号 |
18K11539
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
吉野 公三 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (10358343)
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研究分担者 |
猪山 昭徳 独立行政法人国立病院機構 刀根山病院(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構刀根山病院, 研究員(移行) (40645313)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 筋委縮性側索硬化症 / 無呼吸 / 生理信号 / 生理信号 / 動脈血酸素飽和度 / 睡眠段階 / 睡眠時無呼吸症候群 |
研究実績の概要 |
本研究は,神経変性疾患に併発する睡眠障害の病態生理を睡眠時生理信号の数理解析に基づいて明らかにすることを目的とする.今年度は,パーキンソン病(PD)を併発した睡眠時無呼吸障害(SAS)患者群とPDのないSAS患者群との間の(1)睡眠段階遷移過程の違いと(2)睡眠時無呼吸イベントに対する心拍応答の違いを解析した.さらに,筋委縮性側索硬化症(ALS)を併発したSAS患者群とALSのないSAS患者群との間の(3)睡眠時動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下現象の違いを解析した.研究分担者が所属する病院で計測された睡眠ポリグラフデータを解析した.(1)については,各睡眠段階間の動的遷移確率を計算した.(2)については,睡眠時の気流データより,無呼吸・低呼吸イベントのタイミングを自動抽出し,そのイベント後の覚醒に伴う自律神経系の応答性を瞬時心拍数の過渡応答時系列を数値解析することで定量評価した.(3)については,無呼吸・低呼吸イベント後のSpO2の低下速度等の特徴量を計算した.以下の結果が得られた.(1)PDとSAS併発群の方がPDのないSAS患者群よりもレム睡眠段階より覚醒段階への遷移確率が統計的有意に低かった.(2)PDとSAS併発群の方がPDのないSAS患者群よりも睡眠時無呼吸イベントに対する心拍応答上昇振幅が統計的有意に低かった.(3)ALSとSAS併発群の方がALSのないSAS患者群よりも睡眠時SpO2の低下速度が統計的有意に遅かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
睡眠時無呼吸障害を併発したパーキンソン病(PD)と筋委縮性側索硬化症(ALS)の睡眠時生理信号の数理解析を開始することができ,その生理信号変動の特徴的パターンを見つけることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,パーキンソン病の睡眠時無呼吸イベントに対する心拍応答現象をより詳細に解析する.パーキンソン病の睡眠段階遷移過程における睡眠時無呼吸イベントの関与を詳細に解析する.さらに,これらの特徴の重症度依存性を調べる.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を遂行する上で,実際の使用額が当初の使用見込み額と異なったために残額が生じたが,研究計画自体に変更はなく,次年度は今年度の残額を含めて,当初の使用計画通りに研究を進める.
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