“がん”という病態の本態解明において、エピジェネティクスの重要性が認識されており、その中でも、長鎖ノンコーディングRNAやヒストンメチル化が重要な役割を担っていることが明らかになっている。一方“がん”におけるエピジェネティクス機構の統一的な解析手法が確立されておらず、近年急速に進歩しているロボティクス技術や、人工知能の中核的アルゴリズムである機械学習・深層学習を用いた解析の可能性が示唆されている。 最終年度に実施した研究としては、ロボティクス技術を駆使した大規模肺がんFFPE ChIP-seq解析を実施し、得られたNGSデータセットを用いた特徴抽出を行った結果、EGFR変異症例群とPan-negative症例群が、エピジェネティックスの観点からもクラス分類出来ることを示した。それらの結果を査読付き論文としてまとめた。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、培養細胞、凍結検体、FFPE検体等、様々な形態のサンプルにおいても、ロボティクス技術を駆使したChIP-seq解析が適用可能であることを示し、得られたNGSデータセットを解析した。その結果として査読付き英語論文を本研究期間内に複数報告した。また知財および産学連携の成果としては、産総研・人工知能研究センターと共同で、転写因子結合部位の同定も可能とするFFPE ChIP-seq技術をヒト型汎用ロボットに実装させた結果、著作権法の保護対象となる職務発明として認定された。
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