• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

細胞内局在変化を起こすアイソフォームの網羅的探索と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K11543
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

今井 賢一郎  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80442573)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードアイソフォーム / 細胞内局在部位変化 / ターゲッティングシグナル予測 / 選択的スプライシング / 選択的翻訳開始点
研究実績の概要

本研究は、選択的スプライシング(AS)や選択的翻訳開始点(ATI)によって、アイソフォームレベルでの細胞内局在部位の変化により機能調節を行う遺伝子の網羅的探索及び機能解明を目指す。
本年度は、まず、ASやATIによって細胞内局在部位の変化を起こすヒトのアイソフォーム情報を、UniProtやTISdbなどから取得し、データセットの作成を行った。次に、局在化シグナルとしてミトコンドリア移行シグナル(MTS)とERシグナルペプチド(SP)に注目し、独自手法MitoFatesと既存手法SignalP5.0を用い、アイソフォーム間での局在化シグナル欠失/獲得の予測によりアイソフォームレベルで局在部位変化を起こす遺伝子の網羅的探索を行うパイプラインを開発した。このパイプラインを用い、ヒトのアイソフォームデータを解析したところ、ミトコンドリア局在するアイソフォームを持つ可能性のある1068遺伝子を特定した。そのうち、677遺伝子については、アイソフォーム間でミトコンドリア局在の変化が起こる可能性があることがわかった。一方、SPを持つアイソフォームについては、2427遺伝子中、1001遺伝子において、アイソフォーム間で細胞内局在の変化が起こる可能性があり、MTSを持つ遺伝子の方がSPを持つ遺伝子に比べ、アイソフォーム間で細胞内局在の変化が起こる可能性が高い傾向にあることがわかった。また、配列解析によるドメインアノテーションを行い、細胞内局在変化を起こす可能性のあるアイソフォーム間でのドメイン構成の変化を調べたところ、MTSを持つ遺伝子では、約30%で、SPを持つ遺伝子では、約52%で、細胞内局在変化ともにドメイン構成の変化を起こすアイソフォームを生じている可能性があることがわかった。今後は、ドメイン構成の変化を起こすアイソフォームを中心に局在変化と機能変化との関連について解析を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで、深層学習を用いたMTS予測の性能向上の検証、MTS予測とSP予測法を組み合わせた、アイソフォーム間で細胞内局在部位の変化を起こす遺伝子探索のためのパイプラインの開発が完了している。また、ヒトのアイソフォームデータに対し、開発したパイプラインによるASやATIによって局在部位の変化を起こすアイソフォームを持つ遺伝子候補の網羅的探索を行い、細部内局在変化を起こすアイソフォーム候補の機能解析を進めている。一方で、研究計画では、アイソフォーム間で膜貫通セグメント(TMS)の獲得/欠損による細胞内局在の変化を起こす遺伝子の探索を行うことも計画しており、探索と解析を進めているが、本年度中の完了とは至らなかったので、やや研究計画に遅れが出ている。

今後の研究の推進方策

まず、現在進めているアイソフォーム間でTMSの獲得/欠損による細胞内局在変化を起こす遺伝子の探索を完了させる。そして、得られたアイソフォーム間でMTS、SP、TMSの獲得/欠損により細胞内局在変化を起こす遺伝子候補について、遺伝子レベル、アイソフォームレベルでの発現量解析に加え、配列解析による機能ドメイン予測、タンパク質間相互作用情報解析を用いた機能解析を行い、アイソフォーム間の機能変化による多機能性の解析を行う。また、構造情報が得られる場合は、分子動力学計算、結合ポケット予測を組み合わせたリガンド結合部位の探索を行い、未発見の低分子と結合の可能性からの多機能性の解析も試みる。有望な候補については、それらの細胞内局在部位の変化や相互作用相手の変化についての実験的検証を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Structure of mitochondrial import gate reveals distinct preprotein paths.2019

    • 著者名/発表者名
      Araiso, Y., Tsutsumi, A., Qui, J., Imai, K., Shiota, T., Song, J., Lindau, C., Wenz, LS., Sakaue,H., Yunoki, K., Kawano, S., Suzuki, J., Wichnewski, M., Schutze, C., Ariyama, H., Ando, T., Becker, T., Lithgow, T., Weidemann, N., Pfanner, N., Kikkawa, M., Endo, T.
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 575 ページ: 395-401

    • DOI

      10.1038/s41586-019-1680-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] An Entamoeba-Specific Mitosomal Membrane Protein with Potential Association to the Golgi Apparatus.2019

    • 著者名/発表者名
      Santos, H.J., Hanadate, Y., Imai, K., Nozak, T.
    • 雑誌名

      Genes

      巻: 10 ページ: 367

    • DOI

      10.3390/genes10050367

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Novel lineage-specific transmembrane β-barrel proteins in the endoplasmic reticulum of Entamoeba histolytica.2019

    • 著者名/発表者名
      Santos, H.J, Imai, K., Makiuchi, T., Tomii, K., Horton, P., Nozawa, A., Okada, K., Tozawa, Y., Nozaki, T.
    • 雑誌名

      FEBS J

      巻: 286 ページ: 3416-3432

    • DOI

      10.1111/febs.14870

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] In silico search for mitochondrial proteins with differentially localized isoforms via alternative splicing and alternative translation initiation2019

    • 著者名/発表者名
      Imai, K., Fukasawa, Y., Yamada K.D
    • 学会等名
      the 16th ASMRM and 19th J-mit
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi