次世代医療として注目されている細胞治療/再生医療であるが、近年は多くの製品開発が進みつつある。しかしながら、3次元的な構造を高細精に再現するような治療法開発まではいたっていないのが現状である。その理由の一つに、そもそも再生能が低い哺乳類の細胞を用いて、自前での器官再生研究を行うのには限界があることが考えられる。 本申請研究では、脊椎動物でありながら3次元的な構造を再生可能な両生類が有する能力に着目した。 昨年度までは、3次元構造に対する酸素/栄養供給に重要な血管形成に着目し、両生類に先んじて哺乳類体性幹細胞を用いて重要と思われる因子候補を数種、同定した。その上で、その両生類ホモログに関して、発現領域や機能に関しての解析をデータベースの情報を用いてすすめた。 今年度は、昨年度同定した因子候補に関して、in vitro血管形成実験系を駆使し、その機能解析を行った。その結果、血管形成過程(増殖、遊走、安定化)において、それぞれ重要な因子が存在し、その一部のみでは正常な血管形成が起きないことが明らかになった。特にこれまで多くの地検が報告されている「VEGF、IGF、EGF、bFGF」などは、血管形成の初期段階である増殖機において特に大きく関与をしているが、その後の遊走や安定期には別の因子が重要となってくることも明らかになった。その上で、今後再生医療等の治療効果をあげるためには、それらの因子の時間的な妥当性や協調作用まで考えて進めなければならないことが明らかになった。
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