研究課題/領域番号 |
18K11548
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 武志 広島大学, 病院(歯), 助教 (40325197)
|
研究分担者 |
木内 良明 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (40214738)
氏間 和仁 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (80432821)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Web Accessibility / 視覚障害 / 文字認識 |
研究実績の概要 |
ロービジョン者、特に中心視野に欠損のある患者に読み易い医療機関Webページとはどのようなものかを調べるために、3つのアプローチを平行して行った。 第一に、視覚障がい者の読書に関する基礎研究、特にどの要因が最小認識文字サイズに影響を与えているのかを明らかにするために、網膜上の提示位置と刺激文字の提示時間及び仮名・漢字の文字種が最小認識文字サイズに与える影響を調べる実験を中心に研究を実施した。実験は晴眼者5名を対象とし,中心視と偏心視で提示位置0度と下方10度,提示時間短85ms(SD = 5),長110ms(SD =7 ),文字種仮名・漢字の条件で最小認識文字サイズを測定した。最小認識文字サイズは8種類の文字サイズを用いて極限法で一人当たり6試行分を平均して求められた。3要因分散分析の結果,交互作用はみられず,提示位置要因と文字種要因の主効果がみられた。下部視野10度では中心視よりも約10倍大きい最小認識文字サイズとなった。中心視と下部視野10度において,仮名よりも漢字の方が最小認識文字サイズは約1.3倍大きくなることが明らかになった。この成果は偏心視の新たな読書支援法を確立することに貢献するものと考える。 第二に、全国の国公立大学病院のWebサイトおよび国公立大学眼科教室のWebページで使われている用語を収集し、リンクや見出しに使われている語句の頻度を確かめた。その結果、国公立大学病院Webサイトにおいてトップページに適正な数の見出しが使われていない可能性があることが判明した。 第三に視野欠損の主な原因な原因である緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性の病態についての研究を遂行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療機関Webページにおける判りにくい用語に関するアンケートを実施する予定であったが、アンケート内容の検討のため昨年度に実施出来なかった。2019年度中にアンケートを実施する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果を踏まえ、下記の研究を遂行する。 視覚障がい者の読書に関しては、人間の神経系における漢字/かな文字の処理の相違を,中心視と偏心視とで比較する実験を行う。Webサイトの調査については、国公立大学(病院)Webサイトから収集した用語と患者向け説明文をサンプルに「判りにくい用語」と「漢字とかな文字のバランス」について、晴眼者および視覚障がい者当事者へアンケートを実施する。 またこれらの研究を遂行するために倫理委員会への申請を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
医療機関Webページにおける判りにくい用語に関するアンケートを実施する予定であったが、アンケート内容の検討のため昨年度に実施出来なかった。謝金・謝礼用の費用も未執行である。2019年度中に、「判りにくい用語」と「漢字/かな文字のバランス」についてのアンケートを実施し、費用を執行する予定である。
|