2020年度は,イベント検知のための時系列データ分類アルゴリズムの研究を引き続き行った.前年度までに構築したshapeletに基づく時系列データ分類アルゴリズムをベースに,今年度は更にshapelet間の順序関係を考慮したアルゴリズムに拡張した.shapeletはイベントとしての解釈も可能であるため,shapelet間の順序関係の中から重要なものを特定することにより,イベントの発生順序に基づくイベント-アクションルールの生成を行えるようになることが期待できる.提案アルゴリズムでは,shapelet間の順序情報を利用するため,まずn-gramカーネルを導入した.n-gramカーネルは系列データ中における部分系列の出現順序情報を利用する方法の1つで,2つのデータ中に存在しうる長さnの部分系列の中で共通して出現するものの割合を計算することで, 2つ系列データに出現する部分系列の順序がどれくらい似ているかを定量化する.本研究では,系列データ中における部分系列をshapeletに置き換えることで,2つの時系列データにおけるshapeletの出現順序がどれくらい似ているかを数量化した.更にn-gramカーネルを既存の最小距離カーネルと共存させるため,カーネルアライメントに基づくマルチカーネル学習による統合を行った.マルチカーネル学習の導入によりn-gramカーネルと最小距離カーネルの重みの配分をデータに応じて自動計算することが可能になり,ベンチマークデータを用いた実験によりその効果を確認することができた.
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