研究課題/領域番号 |
18K11561
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
桑田 喜隆 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (40559134)
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研究分担者 |
小川 祐紀雄 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30783261)
石坂 徹 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (60292075)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学習支援システム / プログラミング教育 / Moodle / Jupyter Notebook |
研究実績の概要 |
本研究では、最適なプログラミング教育環境を研究することを目的としている。研究方法として、新しい教材や環境を用いて実際の学生向けにプログラミング演習を行い、その効果を定量的に測定する。そのために、次の仕組みを実現する。(ア)教師が手早くプログラミング環境を準備し試行できる仕組み(イ)教育効果を定量的に測定することのできる環境。(ア)の実現のために、SINET5(L2VPNなどのセキュアな通信環境)、クラウドコンピューティング技術および環境の自動構築技術を利用し、教師自らオンデマンドでプログラミング環境を準備できる仕組みを用意する。従来は演習用PCの上に手動で環境を準備していたものが、プラットフォームを使うことで、自動かつ柔軟に行えるようになる。例えば、pythonを使ったプログラミング演習をJupyter Notebook インタフェースで実現する場合、学生の数だけクラウド上に仮想サービスを立ち上げ、演習に必要な設定や教材を提供することができる。(イ)の実現のために、学生一人ひとりの演習の過程およびその環境を保存し、定量的な評価を行う。 2018年度は主にコンセプトおよび提案した仕組みの機能の確認を実施した。特に、実際に行う予定の授業を想定した計算機環境の準備、およびプログラミングの授業を行うための基礎的な検証を中心に実施した。2018年度に得られた成果を学会や研究会で適宜発表し、専門分野の研究者からフィードバックを得ることができた。概ね計画通りの進捗であったと考えている。2019年度の実施する「プログラミング入門」は全学科の学生を対象にしており、本研究で提案した新たな手法と新たな環境で臨む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は以下の5タスクから構成されている。 (1) 環境構築技術の確立:検証用プラットフォームの構築方法を確立する。構築方法は、Jupyter Notebook上で手順化する。環境構築方法自体も、教師への教材として提供する。 (2) 評価用プログラミング環境の準備:例題として、検証用プラットフォーム上でプログラミング環境を準備する手順を作成する。作成した環境は、タスク(3)およびタスク(4)で利用する。 (3) プログラミング授業トライアル1:実際にプログラミングの授業を実施し、検証用プラットフォームの評価を実施する。 (4) プログラミング授業トライアル2:比較用に別の形態の授業でプログラミングの授業を実施し、検証用プラットフォームの 評価を実施する。更に、タスク(3)との比較で、仮説の評価を実施する。 (5)外部発表および成果の公開:成果の外部発表 (論文)および外部公開(OSSとして提供)を行う。 2018年度には、タスク(1)および(2)に着手し、環境を構築する方法を検討した。得られた成果として検証用プラットフォームの構築ノウハウはMoodlemootで発表を行なった。また、研究協力者の国立情報学研究所の開発に反映する予定である。タスク(3)については、教員による授業のトライアルを実施し、得られた知見を研究会論文(2編)として発表した。タスク(5)については、上記の論文の他に、作成したプログラムを公開している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に「プログラミング入門」を対象にして、本研究成果のトライアルを実施することを計画している。そのため、2019年度は以下の準備を進めている。 (1) 授業のための環境として、研究協力者である国立情報学研究所の開発中の「コースウェアハブ」を利用することとし、事前設定などの準備を実施する (2) 授業で利用する予定の教科書「Jupyter Notebookで始めるプログラミング」の執筆を行う。 (3) コースで実際に利用するための、演習用教材を作成する。 (4) 提案手法の事前確認のため、十数人規模の模擬授業を行う。これによって、大規模な授業を行う前に、システムやコンテンツの課題を洗い出すことが可能となると考えられる。 (5) 得られた成果を論文としてまとめ、外部発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
パブリッククラウド(Amazon Web Services)を使った実験を計画していたが、国立情報学研究所の環境を利用することで2018年度は費用が少なくなった。2019年度はパブリッククラウドでの評価も継続実施する予定のため、本年度の費用と合わせて活用することを計画している。
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