研究課題/領域番号 |
18K11562
|
研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
村上 佳久 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (30229976)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 視覚障害 / 遠隔授業 / テレビ会議システム |
研究実績の概要 |
(1)遠隔授業対応:コロナ禍の中、遠隔授業対応の要望もあり、実験協力校のシステムを遠隔授業対応とした。具体的には、Webカメラの追加と、SSD容量の増強、遠隔授業用のテレビ会議システムとして、ZOOMやTeamsを採用、さらに合成音声下でもテレビ会議システムが利用できるよう、システムのブラッシュアップを行った。これらの対応により、遠隔授業対応となったが、視覚障害者の利用には様々な問題があるため、合成音声を利用して、ZOOMやTeamsを利用するためのマニュアルを整備した。 テレビ会議システム利用中の画面を点字ディスプレイに出力することは、不可能であったが、教材を、フォルダに転送することにより、そのファイルを開くことで、教材の転送利用が可能となった。 (2)通信手段:テレビ会議システムを利用した盲学校内での運用に関して、各々の県の情報通信に関する規則により、盲学校内部のネットワークに接続できない事が判明したため、実験協力校の校長や県教委と相談の上、Wi-Fiルータを貸出すことで対応することとなった。実際に運用実験を行うと、安定して利用できることが確認できた。 (3)県を越えた交流の試み:遠隔授業用のシステムとWi-Fiルータを利用して、他県の同一システムを接続し、他県の先生方とのテレビ会議システムの交流を実施した。これを元に、2県で、各々の授業をテレビ会議システムで公開し、他県の先生が、もう一方の先生の授業を閲覧する試みを実施した。 (4)簡易型電子黒板システム:実験協力校から簡単な電子黒板表示システムが要望されたため、教員の端末からの無線機能で生徒側の電子黒板に転送すると言う、無線LANを利用しない簡易型電子黒板システムを導入した。拡大文字・音声・点字の3つの同じ出力は出来ないが、拡大文字と音声の出力は可能である。1対1で授業を実施している弱視生徒に対して有効性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)学習情報システム端末の遠隔授業への対応は、予定よりも進んでおり、各実験協力校での機器のアップデートをハードウェア面とソフトウェア面の両面で実施した。 (2)盲学校2校でWi-Fiルータを利用した遠隔接続実験を実施し、遠隔授業への手がかりをつかんだ。但し、各都道府県の事情により、成果を十分に情報公開できない部分もある。 (3)三種類の教材を同時に展開する電子黒板システムよりも簡易型の電子黒板の要望が多く、実際に授業に即した対応が求められており、全体的には、おおむね順調に進展している。 (4)コースウェアの開発は、実験協力校の依頼により、さらに数個の試作コースウェアを提供し、予定通り進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今回開発したシステムと遠隔授業との組み合わせを検討し、協同事業に活用する、新しい科研費の研究に繋げていきたいと考えている。
|