研究課題/領域番号 |
18K11568
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
永井 孝幸 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (00341074)
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研究分担者 |
桝田 秀夫 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (90304063)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | XACML / ALFA / Moodle / ポリシー記述言語 / プライバシーポリシー |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、プライバシーポリシーと連携して外部システムに学習データを開示する機能を持った個人用LMS(プライベートLMS)の試作を行った。オープンソースLMSであるMoodleを実装基盤とし、Moodle上に蓄積される学習活動履歴に対してポリシー記述言語XACMLで記述したプライバシーポリシーを適用してアクセスする機構を実装した。また実際の利用状況を踏まえたポリシーの記述においてXACMLでの記述は煩雑となり、XACMLのサブセットであり簡易な記述が可能なALFA言語をポリシー記述に用いることが妥当であると結論した。 パーソナルLMSの実行環境についても技術的検討を行い、多数のパーソナルLMSを同時並行的に動作させるデジタル学習環境を実現するためにはコンテナ型仮想環境を用いるのが適切であると判断した。そこで、国立情報学研究所が提供を開始した「学認クラウドオンデマンド構築サービス」を用い、パブリッククラウド環境上でコンテナ仮想化したMoodleを動作させる技術試験を行った。これにより、少ないメモリ使用量で大量のパーソナルLMSを実行させる目処を得た。 これまでに得られた結果の部分的な応用として、学校間連携を考慮した分散型生徒情報リポジトリに対するアクセス制御システムの試作を行った。この試作システムでは生徒一人ひとりに割り当てられた生徒情報リポジトリに対して,生徒と学校・教師の関係性を表現するソーシャルグラフを用いてアクセス制御を行う。ソーシャルグラフに格納された生徒と教師の属性情報を属性ベースのアクセスポリシー記述言語であるALFAを用いて評価する構成とすることで、学校間連携を考慮した粒度の細かいアクセス制御を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の成果が意味を持つにはオープンソースソフトウェアによる実装が可能であることが極めて重要であると考えている。しかしながら、オープンソースのXACML処理系において本研究で想定するプライバシーポリシーを処理するにはXACML技術規格の拡張部分を利用する必要があることが判明し、オープンソースとして公開されている処理系の一部に手を加える必要が生じた。この部分の解決に想定以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた知見と要素技術を組合わせ、複数のパーソナルLMSが同時並行的に動作するデジタル学習環境を実装することが当面の課題である。実装においてはクラウド環境・コンテナ型仮想化技術や国立情報学研究所の開発したLiterate Computingの技術を組合わせることで効率よく進めていく予定である。
次に、プライベートLMSに対してLMS間通信機能とコンテンツ共有機能を実装することで,既存の集中型LMSで実施している共通コース上での協調学習と同等の学習活動が行えるように機能を拡張する。
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次年度使用額が生じた理由 |
パーソナルLMS実行環境の構築について技術的な検討を行った結果、環境全体をオンプレミス環境で構築するよりも一部をパブリッククラウド環境上に構築し実験規模を柔軟に変更できる構成とする方が合理的であるという結論にいたった。 このため、設備備品費の一部をサーバ購入ではなくパブリッククラウドの利用料金に充てることとし、2020年度以降のパーソナルLMS実行環境の維持費として支出する計画である。
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