研究課題/領域番号 |
18K11569
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
荒木 雅弘 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (50252490)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知的チュータリングシステ / 質問応答システム / マルチモーダル対話 |
研究実績の概要 |
本研究では、学習者の覚醒度を保ちつつ、心理的な負担が小さいチュータリングシステムは実現できるか、また、その実現において最も本質的な要素は何かという問題を探求している。そのための手法として、学習者への刺激を高めるバーチャルエージェントによる音声対話を用い、一対一対話よりも心理的負担の小さい三者対話の場を設定することで、飽きず、かつ疲れすぎずに学習が進められる環境を実現する。二体のバーチャルエージェント間の学習プロセスを主とすることによってユーザの対話に参与する負担感の軽減を図るとともに、生徒役のエージェントのレベルを学習者と揃え、質問を適切に生徒役とユーザに振り分けることで、適度な緊張感を保ちつつ長時間使用に耐える三者対話システムの実装を通じて、これらの問題の解決を試みる。 本年度は主として、ユーザからの質問に対応できる機能の実装として知識グラフを用いた応答生成機構の実現と、三者対話形式における学習者の心理的負担軽減の評価を行った。 知識グラフを用いた質問応答については、教科書の記述から述語項構造を用いて知識グラフを構築する手法と、各種の類似度を併用した検索手法とを用いて質問応答部を構築し、基本的な質問事例に対して動作検証を行った。 また、三者対話形式における学習者の心理的負担軽減については、二者対話方式との比較環境を設定して85名に対するアンケート調査を行い、「リラックスしやすい」「質問しやすい」の2項目について有意な差が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点でプロトタイプシステムの実装は完了しているので、コンテンツに依存する部分を切り分けることで他のコンテンツを実装することができるフレームワーク化が可能であると思われる。 また、三者対話方式の心的側面においては評価実験が終了しており、引き続き学習効果の評価実験を行う準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
実装面に関しては、最終的には知的チュータリングシステム開発のためのフレームワークを目指す。フレームワーク化にあたっては、定性的に要件を定義し、過度に高い機能を追い求めるのではなく、チュータリングの本質的部分に絞った設計を試みる。 また、三者対話方式の評価においては、具体的なシナリオを設定し、学習効果の評価実験を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会開催中止に伴い、旅費に使用残が生じた。次年度は評価実験のために物品および謝金が必要となる。
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