研究課題/領域番号 |
18K11575
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
根本 淳子 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (80423656)
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研究分担者 |
高橋 暁子 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20648969)
竹岡 篤永 新潟大学, 教育・学生支援機構, 特任准教授 (30553458)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学習支援 / 教授設計理論 / ストーリー型 / RMモデル |
研究実績の概要 |
本研究では学習者自身が「自らの学びを組み立てる力」の涵養を目的に、教育設計の支援手法の提案を試みている。支援手法とは(1) 教授設計理論に基づき、目的や対象に合わせて学習者自身で学習活動を組み立てられる初学者向け課題分析手法、(2) RMモデルを活用した他者比較による学習設計支援ツール、(3)現実的な課題の提示により臨場感を持って効果的に学ぶことができるストーリー型の学習プロセスの3点でである。 2020年度は課題分析利用者像・場面・プロセスの具体的検証を中心に行った。課題分析には課題洗い出しと課題の階層化の大きく二つの活動があること、階層化にはグルーピング・関連づけ・レビュー(確認/調整)に細分化できることを整理した。そこで、2021年度は課題分析の活動プロセスが実践でどの程度活用できるかについて検証を行った。教育方法を学ぶ学生を対象に個人とグループワークを組み合わせて課題分析に取り組んだ。課題分析を活用する利点や効果を利用者もおおむね実感することができたが、目標の設定や課題分析のイメージがどれだけできているかで課題分析図の作成に差が出てくることが見えた。 本年度は課題分析の活動プロセスが実践でどの程度活用が可能であるかについて継続的に検証を行った。課題であった目標設定については、説明を追加し、小テストで事前確認した。課題分析はグループごとにWeb上での協同的な活動で課題分析プロセスを可視化する活動を行った。課題分析活動の指示についてはよりスモールステップを試みた。全体として、活動が円滑に進めることができた。実践と並行して、これらの活動をより手軽に活動ができる道具の開発が可能であるのかの検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は学習経験者の分析とグランドデザインの検討を行い、学習者像・場面・プロセスを整理した。本研究の対象を明確にし、実践を意識したエキスパートレビューと改善を繰り返した。2年目は収集した事例を基に初心者向けの課題分析の方法をより具体化するために、目標達成のための課題分析をどのように行うか、個人とグループワークを導入の場合について整理した。そして3年目では、検討してきた分析手法を実践の場で活用し実証評価に取り組んだ。これによって、提案手法の一定の効果を確認することができた。ただし、検証する場面の設定が、コロナ禍によって申請者らが想定していた場面とは大きく異なったそのため、実践の方法を変更せざるを得ない状況となった。RMモデルを用いた活動の追加は学習者の負荷となることが考えられ、最終年度ではこれまでの活動プロセスを整理し、ツールとして提供することで実践への簡単な組み入れ方法について検討・調整することにした。活用しやすい環境を考えた際、RMモデルの概念は現在の活動案の中に含まれていると整理することが可能であるが、その際の検証方法にはまだ検討の余地があると考え、次年度の検討課題とする。また、手軽に活動ができる道具開発の準備として、デザイン思考を活用した検討会を重ねた。次年度引き続き検討を行うことにした。
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今後の研究の推進方策 |
課題分析の手法については、昨年度から継続的に微調整を重ね、おむね提案の流れで進められることを確認できたので、この方向で進めていく。課題分析の検討にはRMモデルを活用したツールの連携が重要であるということが、本研究での着目点であった。よって、今回はRMモデル的視点の評価について整理をし、実践で確認ができるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって、実践の状況や実地調査の計画が変更になったことが大きな理由で、研究計画の調整をすることになったため変更が必要となった。次年度については、実践を重ねるとともにこれまで得られたデータの整理に活用する予定である。
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