研究課題/領域番号 |
18K11585
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研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
斉藤 友彦 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (50464798)
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研究分担者 |
平澤 茂一 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (30147946)
松嶋 敏泰 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30219430)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プログラミング教育 |
研究実績の概要 |
本研究は「回答履歴から学習者の弱点を推定し適切な問題を推薦するプログラミング演習Webシステム」の構築を目的とする.このシステムは,ACM-ICPCやAtCoderをはじめとするプログラミングコンテストで上位を目指す高校生及び大学生を対象とする.なお,プログラミング言語はC及びJavaに対応する.プログラミング上達には,学習者が自分の弱点を的確に把握し,現状に適した演習問題を大量に解くことが最も大事である.本来,プログラミングと学習者を熟知した人間のコーチが専属で練習メニューを指示するのが理想であるが,本システムでは,あたかもAIがこれを代替しているかのようにふるまう. 本年度の主な成果はWebシステムやユーザインタフェースの実装に関するものである.1つ目はJavaScriptを使ったWeb学習支援を目的とした拡張機能の作成である.Web上での学習時に陥りやすい「脇道に逸れやすい」や「一度脇道に逸れたら学習に復帰しない」等の問題点を解決するため,学習予定設定,学習状態表示,学習離脱時警告表示,学習期限超過警告表示,学習パック作成・共有の機能を搭載したGoogle Chrome用拡張機能を作成した.2つ目はチャットボットを使った学習ツールの作成である.チャットボットとは,人間とコンピュータ間で話し言葉を用いて会話するソフトウェアである.本研究では,より人間のコーチと話しているかのような感じを実現するため,チャットボットによる学習ツールを開発し,その学習効果に関して検証を行った. また,本研究の副産物として,機械学習やWebアプリ,教育工学に関する研究の知見を活かし, 仮想スタンプラリーを用いたオンラインイベントシステムやデータの可視化を用いた野球観戦システムの開発等を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の主な研究成果はWebシステムやユーザインタフェースの実装に関するものである.具体的にはJavaScriptを使ったWeb学習支援を目的としたGoogle Chrome用拡張機能の作成やチャットボットを使った学習ツールの作成である.これらの成果は最終目標である「回答履歴から学習者の弱点を推定し適切な問題を推薦するプログラミング演習Webシステム」の開発に重要である.また,本研究で得られた機械学習やWebアプリ,教育工学などの知見を活かした様々なシステムの開発や検証を行った. 一方,現在までの進捗状況区分を「やや遅れている。」とした主な理由は次の二つである.一つ目の理由は,新型コロナウィルスの影響で,対面での実験が想定通りに進まなかったためである.今後は,少しずつではあるが新型コロナウィルスも終息に向かっているため,最善の注意を払いながら,当初予定した実験を実施していく予定である.もう一つの理由は適切な問題を推薦するための推薦システムの開発が想定通りに進んでいないことである.本研究内で実施した簡易的な実験では,対象のデータに対して適切にアルゴリズムが動作しなかった.今後はアルゴリズムに改良を施し,本データに適した推薦システムを開発していく.
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今後の研究の推進方策 |
次年度の目標は次の通りである.一つ目は,今年度に引き続き,チャットボットによる学習システムの開発を進めることである.人間のコーチと会話しながら学習する雰囲気を作るために,チャットボットは重要なユーザーインターフェースであると考える.次年度は,本年度に作成したシステムに加え,データベースなどのバックエンドを充実させ,より学習効果が高く,学習へのモチベーションを高めるためのシステムを開発予定である.また,プログラミン課題のみならず,数学など様々な分野の学習システムへの応用についても検討を行う. 二つ目は,推薦システムの改良である.これまでは,既存の推薦システムをそのまま本研究のデータに適用させてきた.しかしながら,次年度は推薦システムに関して改めて再調査を実施し,新たなアルゴリズムを開発する. 三つめは,これまでに作成した,プログラミング課題,Webシステム,学習理解度認識システム,推薦システムを統合させたシステムを実装し,それらを使った対面による実験を実施する.新型コロナウィルスは終息に向かっているものの,最善の注意を払いながら対面での実験を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は主に二つである.一つ目は新型コロナウィルスの影響で多くの学会が中止,オンライン開催になったからである.研究成果を効果的に発表するためには対面での発表の方が良いと判断し,一部の研究をオンラインで発表した以外は,学会での研究発表を見合わせた.二つ目は同じく新型コロナウィルスの影響により,思うように検証実験が進まなかったからである.本年度は大学生を多数集めた検証実験を予定していたが,社会状況を鑑み,実験を中止した.そのため想定していた研究成果が得られず,投稿や対外発表が進まなかったからである. 次年度の主な使用計画は対外発表のための学会参加費及び旅費である.次年度は新型コロナウィルスも終息に向かい,学会に参加できる可能性も増えると考えられる.その際の学会参加費及び旅費として使用する予定である.
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