本研究では、サイバー関連犯罪の犯行特徴のデータベース構築と被害リスク判別を可能とする事件情報分類のための統計的プロファイリング・アプローチについて検討すると共に、本手法により明らかにしたサイバー関連犯罪の犯行特徴と被害リスクをまとめた市民向け防犯教育教材を制作し、実用化のための実証評価に取り組んだ。最終年度となる2022年度は、前年度に予定していた防犯教育教材の試作に着手し、2022年7月に地元小学校で開催したワークショップと同年11月に開催した府民フェスに出席・来場した小学生・保護者を対象に同教材の評価テストを実施した。本研究で掲げた4つの課題について、 2018年度は[1]サイバー関連犯罪の事件記録データの収集・整理に着手し、当初予定通り警察関係者及び国際会議EuroCrimにおける研究者へのヒアリングをもとに実施、これをもとに2019年度には[2]事件記録情報の構造化と犯行データベースの構築に取り組んだ。2020~21年度には[3]犯行要素のリンク構造化と次元縮約のための分析及び[4]犯行パターン分類に着手し、前年度構築した犯行データベースをもとに犯行(要素)間の共起構造を明らかにすることを目的としたネットワーク分析を試み、犯行パターン分類分析ツールとしての当該データベースの有用性について検証を行った。最終年度は、犯行パターン分類分析に基づいて、児童が被害対象としたハイリスク事犯例として抽出した犯行ケースを題材とした防犯教育教材を試作し、地元小学生及び保護者層より使用教材としての評価を受けた。
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