我々は,基盤研究C(15K0191)にてウェアラブルデバイスを使った指文字の学習支援アプリケーションの開発を行った.この研究では,拡張現実(AR)技術を用いて,ひらがなが描かれたカードをいマーカーとして,ウェアラブルデバイスでこのマーカーを撮影すると,自分の見ている現実が拡張され,指文字の三次元モデルが映し出されるものであった. 今回の研究では,このアプリケーションの機能を拡張し,指文字だけでなく,手話の学習も可能にすることを目的とした.そこで,我々は手話の三次元モデルの制作を行った.手話の三次元モデルは,モーションキャプチャーを用いて,手話を母語とする人に研究の協力を依頼し,モーションキャプチャにより三次元手話モデルの制作を行った.また,合わせて,2つの機能の拡張を行った.1つは,拡張現実による表現から複合現実による表現にした.これによりマーカーが不要になり,ウェアラブルデバイスを装着し,デバイスから見える位置でジェスチャーをすることでデバイス越しに見ている現実に指文字等を表示することが可能となった.これにより,それまでマーカーを用いていた指文字の学習が,複合現実上の五十音表からジェスチャーで文字を選択するだけで,指文字の学習ができるようになった.2つ目は,指文字の認識機能を付加した.指文字を学習する際に,自分では指文字ができても,相手の指文字がわかるとは限らず,「指文字ができるようになる」ことに加え,「指文字を読むことができる」ような機能もほしいという要望があり,すべての指文字には対応できていないが,一部の指文字を認識できる機能を付加して,アプリケーションの機能拡張を行った.
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