研究課題/領域番号 |
18K11596
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
村上 純 熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系HIグループ, 教授 (40174271)
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研究分担者 |
石田 明男 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系理数グループ, 助教 (80633619)
山本 直樹 熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系HIグループ, 教授 (70259969)
大石 信弘 熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系TEグループ, 教授 (00203703)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | R言語 / テンソル分解 / 3D数理パズル / 因果分析 / 分散処理 / 大規模データ |
研究実績の概要 |
平成31~令和元年度は、R言語を用いた因果分析、分散処理HadoopとR言語の連携を中心に、前年度行ったテンソル分解教育のための3D数理パズルの利用についても、その発展とCG化を行った。以下、その内容を述べる。 R言語による因果分析では、前年度からその原理について調べており、今年度は実際の問題例として睡眠監視センサーデータを取り上げて、よりよい睡眠を得るために必要な環境の分析を行い、研究紀要に掲載した後に、国際会議で発表した(ただし、新型コロナ感染症対策のため今年度5月に延期開催となった)。また、この発表論文は論文誌への掲載も決まっている(この掲載も延期されている)。そのほか、ベイズモデリングを用いた因果分析についてもR言語で行えるようにStanの環境を整えて、例題等の計算を行っている。主成分分析についてはR言語では既に関数が用意されており、簡単に使用できる状態であるので、特に取り上げることをしなかった。 HadoopによるRの実行については、昨年度購入した分散処理用ハイスペックマシンにシステムのインストール等の実装を終え、実際にR言語で大規模データ処理を実施した場合を想定して、分散処理を行う場合と行わない場合についての記憶容量や計算時間の比較を行い、学内での発表を行った。 3D数理パズルについては、前年度以降に教育用に利用可能な新しいものが見つかったので、引き続きそれらについてR言語による解法とその教育効果をまとめて、学会発表や論文投稿を行った。この3Dパズルの解法のCG化についてProcessingやPythonとRを連携させて行う予定であったが、まずは3Dや画像関係のプログラミングの容易なUnityで実施して結果を学内で発表したが、Processingでも同様のことが可能であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的にはほぼ計画に沿って進んでいると考えられる。今年度は①R言語による因果分析、②分散処理Hadoop環境の構築とR言語の実装、前年度に引き続き③3Dパズルのテンソル分解教育への応用に取り組んだ。その各々についての進捗状況を以下に述べる。 ①因果分析については前年度から調査を始めており、共分散構造分析法およびグラフィカル・モデリング法の理論および利用法の理解はできており、当年度は睡眠センサー開発企業から提供されたデータについて、実際にR言語を用いて共分散構造分析法で因果分析を行った。その結果、lavaanパッケージの使用で容易にモデルの記述と計算が可能であることが分かった。 ②分散処理については前年度購入して設定等を開始しており、Hadoopに代わるフレームワークとして開発されたSparkを利用することにして、当年度は設定や試用を終え、疑似分散環境でR言語が実行できることを確認した。さらに、分散環境にしない場合との計算時間や記憶容量の比較を行い、分散環境の方がいずれも有利であることが確かめられた。 ③テンソル分解教育用の3Dパズルについては、当年度も新たなパズルを見つけ、その解法と教育への応用法について発表等を行っている。また、利用が容易であるUnityでのCG化も試みている。 以上のように、ほぼ計画に沿っておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度になるので、上記①~③の内容にまとまりをつけて、R言語による大規模データ処理教育用のツールとして仕上げることが目標である。以下に各内容についての方策を述べる。 ①Spark環境におけるR言語の使用について、分散処理の利用法等をまとめる。 ②因果分析はlavaanで容易に実施できることが分かったので、最近のビッグデータ処理でよく利用されているベイズ統計用のStan環境の整備と利用について取り組む。 ③これまで発表してきたテンソル分解教育用3Dパズルを集成してその利用法をまとめる。またCG表示にも取り組む。ProcessingやPythonとの連携は可能であれば実現したい。 これら全体のまとめも当年度に実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね計画に従って使用したが、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内移動や国際会議渡航ができなくなり使用しなかった分や、論文投稿・別刷代、文献複写費、講習会補助員費が不必要となった分などを、因果分析等のデータ分析に用いるノートパソコンのスペックが不足であったので、十分な性能のものの購入に充てた。全体の差額として、次年度使用額が若干生じた。この金額は次年度に旅費に上乗せして使用する予定である。
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