研究課題/領域番号 |
18K11597
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
孫 媛 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00249939)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知診断 / Q-matrix / 項目反応データ / 知識追跡モデル / パーソナライズド学習 |
研究実績の概要 |
2020年,新型コロナウイルス感染症が世界的に爆発的な広がりをみせ,教育・学習にも甚大な影響をもたらした。オンライン学習の必要性が高まり,学習者個々人の特性と知識状態に応じて最適なパーソナライズド学習を支援できるオンライン学習システムの開発がますます重要な課題となっている。 従来の研究では,オンライン学習に用いられる知的学習支援システム(Intelligent Tutoring System: ITS)上にある大量な問題項目に対して,学習者の項目反応データ行列と各項目が測るアトリビュートを表すQ-matrixがスパースである「学習データの希薄性」問題が未解決の大きな研究課題であった。本年度,我々は ITS上に蓄積された学習データから知識構造(Knowledge Structure: KS)を自動生成し,アテンションメカニズムを備えたKSGKT知識追跡モデル(KS-enhanced graph representation learning model for Knowledge Tracing with an attention mechanism)を提案した。我々の提案モデルでは,学習データから自動生成した知識構造を,もともとの項目とアトリビュートの関係グラフに統合し,項目に関するより豊富な情報を組み込むことにより,学習データの希薄性を軽減することができる。提案モデルの有効性,他のState-of-the-artの知識追跡モデルと比しての優位性も,実データを用いて示すことができている。研究成果は国際学会誌International Journal of Intelligent Systemsに採択され,国際学会等でも発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学習データを活用した学習支援の観点から研究を推進しており,アテンションメカニズムを備えたKSGKT知識追跡モデルを提案し,実データに対して実験を行った結果,提案モデルの優位性を示すことができた。論文は当該分野のトップジャーナルIJISおよび国際学会ICCEに採択された。
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今後の研究の推進方策 |
知識構造やQ-matrixを取り入れた知識追跡モデルを開発し,推定精度の向上,及び結果の解釈可能性の改善に向けて研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナウィルスの影響により,国際大会への参加や情報収集のための旅費等の使用ができなくなったため (使用計画) サーバー利用料や,調査・打合せ,論文掲載料,学会発表の参加費および旅費等に用いる
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