• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

高解像度な映像表示を可能とする高指向性マルチ情報発信システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K11599
研究機関千葉大学

研究代表者

白木 厚司  千葉大学, 統合情報センター, 准教授 (10516462)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード指向性ボリュームディスプレイ / 画質改善
研究実績の概要

これまでの研究において,糸とプロジェクタを用いたボリュームディスプレイを作製し,異なる映像を別々の方向に表示可能な指向性ディスプレイを開発した.しかし,先行研究における指向性ボリュームディスプレイでは20×20画素の映像の表示にとどまっており,さらに表示される画像は多くのノイズを含むものであった.そこで平成30年度は,表示画像の解像度および画質の向上に主眼を置き研究を行った.
平成30年度の実績として,ボリュームディスプレイのボクセル値を決定するためのアルゴリズムの見直しを行った.表示画像に多くのノイズが含まれていた原因の一つに,従来アルゴリズムによるボクセル値の計算に表示画像同士の画素値の積が用いられていたことが挙げられる.これは,ある表示画像の画素値が0,つまり黒色であれば,他の表示画像の画素値に依らずボクセル値は0になることを意味する.その結果,他の表示画像の情報は失われノイズの原因となっていた.これに対し,表示画像の加算によりボクセル値を計算するアルゴリズムを提案し,シミュレーションによる検証を行ったところ,表示画像の中に黒を多く含む画像が含まれていた場合でも他の画像の情報を失わずに表示できることが確認できた.また,原画像,従来手法により得られる画像,提案手法により得られる画像を用いて定量的・定性的な画質評価を行った結果,従来手法を上回る評価が得られ,提案手法の有用性が確認された.
これらの成果はOSA(Optical Society of America)の論文誌であるApplied Opticsに1編掲載された他,国際会議で3件,国内学会で1件報告している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

表示画像の画質の向上については新しいアルゴリズムを提案し,定量的・定性的な評価により,その有用性を確認できている.一方で,平成30年度のもう一つの課題として挙げていた解像度の向上について,シミュレーションでの検証は行っているものの評価や実装に至っておらず,進捗状況としてはやや遅れていると言える.
しかし,画質改善において非常に良好な成果が得られており,完成度という観点では当初の計画以上のものとなり得る.

今後の研究の推進方策

まず,平成30年度の進捗状況としてやや遅れている解像度の向上についての研究を進める.従来手法によるボリュームディスプレイを構成する糸の座標を決定するためのアルゴリズムでは,表示画像の水平解像度の2乗の糸が必要となるため,解像度の向上に伴いボリュームディスプレイの作製が困難となる.そのため,指向性を持った画像を表示するために必要となる1画素に対する糸の本数をシミュレーションにより検証する.従来手法では水平解像度20画素の画像に対して400本程度の糸を配置していたが,平成30年度の研究により,200本程度でもほぼ同等の画質が得られることを確認ている.しかし,現在までの進捗状況としてシミュレーションによる検証だけであり,評価や実装に至っていないため,実際に指向性ボリュームディスプレイを作製し,見え方などを評価する.
上記により高解像度化を比較的容易に実現するための糸の配置を求められるようになる.そこで平成31年度は先行研究(水平解像度20画素)よりも解像度の高い画像を表示できる指向性ボリュームディスプレイの作製を目指す.具体的な数値目標として,1,000本程度の糸を用いて水平解像度100画素程度の画像を表示させることを考えている.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Improvement of an algorithm for displaying multiple images in one space2018

    • 著者名/発表者名
      Shiraki Atsushi、Matsumoto Daiki、Hirayama Ryuji、Nakayama Hirotaka、Kakue Takashi、Shimobaba Tomoyoshi、Ito Tomoyoshi
    • 雑誌名

      Applied Optics

      巻: 58 ページ: A1~A6

    • DOI

      https://doi.org/10.1364/AO.58.0000A1

    • 査読あり
  • [学会発表] Subjective Image Quality Evaluation to Compare Algorithms for Designing a Directional Volumetric Display2018

    • 著者名/発表者名
      Daiki Matsumoto, Taishin Murase, Ryuji Hirayama, Hirotaka Nakayama, Tomoyoshi Shimobaba, Tomoyoshi Ito, Atsushi Shiraki
    • 学会等名
      The 25th International Display Workshops
    • 国際学会
  • [学会発表] Image Quality Improvement for 3D Structure Exhibiting Multiple 2D Patterns Using Convolutional Neural Networks2018

    • 著者名/発表者名
      Taishin Murase, Daiki Matsumoto, Ryuji Hirayama, Hirotaka Nakayama, Tomoyoshi Shimobaba, Tomoyoshi Ito, and Atsushi Shiraki
    • 学会等名
      The 25th International Display Workshops
    • 国際学会
  • [学会発表] 3方向以上に表示可能な指向性ボリュームディスプレイの開発2018

    • 著者名/発表者名
      村瀬 大心 , 白木 厚司, 中山 弘敬, 角江 崇, 下馬場 朋禄, 伊藤 智義
    • 学会等名
      FIT2018第17回情報科学技術フォーラム
  • [学会発表] Improvement of the Algorithm for Designing a 3D Object Exhibiting Multiple 2D Images2018

    • 著者名/発表者名
      Daiki Matsumoto, Atsushi Shiraki, Ryuji Hirayama, Hirotaka Nakayama, Takashi Kakue, Tomoyoshi Shimobaba, Tomoyoshi Ito
    • 学会等名
      3DSA 2018
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi