研究課題/領域番号 |
18K11605
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
今井 慎太郎 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (80439554)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 立体音響 / 空間音響 / イマーシブオーディオ / レポン / ブーレーズ |
研究実績の概要 |
前年度に実施した研究対象楽曲の録音について、編集と整音を進めた。さらに、録音の仮想空間への実装方法を検討した。最終的には最大約60chのハイレゾリューション音源をリアルタイムに扱う予定で、コンピュータの処理に高い負荷がかかる見込みのため、音質のみならず簡便さと効率も考慮し、DBAP(Distance-Based Amplitude Panning / Lossius et al. 2009)と、FIR(Finite Impulse Response)畳み込みによるバイノーラル処理を組み合わせる手法を考案した。DBAPにおいて通常はスピーカ位置とする部分に、各マイクロフォンで録音したそれぞれの音源を、当該楽曲スコアの指示に従って配置する。そして通常は仮想音源位置とする部分を、聴点とする。各マイクロフォン音源と聴点の距離を算出し、音源のゲインと遅延を調整する。また音源と聴点正面の角度を算出し、各音源に適用するバイノーラル処理におけるHRTF(頭部伝達関数)の切り替えを行う。聴点の移動と回転に伴う各音源との関係は、アフィン変換で表現する。一方で、バイノーラル処理の実装について検討し、学術利用可能なオープンのHRTFデータセット(SOFA)について調査した。また、研究成果となるソフトウェアはCycling ’74 Maxでの実装を予定しているため、当該環境で利用可能なオープンソースのSOFAユーティリティ(Johnson & auroratech 2019)について調査した。以上で、最終的なソフトウェア開発の準備を整えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
集中的な作業を予定していた2020年3月から、新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大し、その防止に配慮して、密閉狭小空間であるスタジオにおける複数人数での作業を見合わせることになった。そのため、録音素材の編集と整音を終えられず、進捗が全体的に遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
録音素材の最終調整を待たずして、現状の仮の音源でソフトウェア開発と検証を始める。録音素材の最終調整が完了後、速やかに仮のものと差し替え、ソフトウェアの最終的な評価検証を行う。研究報告をまとめ、学会発表を行うとともに、成果物となるソフトウェアをインターネットにて一般公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス禍により録音素材の編集と整音が中断し、かかる人件費および開発費、必要ソフトウェアの購入がなかったため、次年度使用額が生じた。
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