例示データを用いた非線形皮膚変形計算モデルの学習手法の研究にあたって、2020年度には、1.局所性を考慮したスキニング分解、2.補助骨のノンパラメトリック制御という2つの課題に取り組んだ。課題1については、モデルの局所的変形を考慮したスキニング分解技術に関する昨年度の取組結果について、国際的に認知されている学会である Computer Graphics International 2020にて企業研究者と共著で発表した。また、当該アルゴリズムを応用した顔アニメーション制作手法を開発した。この技術では、少数のサンプル顔形状データから、多様な中間顔形状をリアルタイムに合成できるものである。この成果については、コンピュータグラフィックス分野における国内最大の査読付きシンポジウム Visual Computing 2020 にてフルペーパー発表し、情報処理学会CGVI研究会優秀発表賞を受賞した。一方、課題2については、ノンパラメトリック数理モデルを用いた幾何学変換連動手法を開発するとともに、その研究成果をVisual Computing 2020にてフルペーパー発表した。この成果については、国際会議・学術誌への投稿準備を進めている。なお、いずれの提案手法についても、プロトタイプソフトウェアとしての初期実装を概ね完了し、共同研究先企業においても実地検証している。研究期間終了後も引き続き、アルゴリズムの改善や各種計算フローの改善を行うなど、実用化に向けて取り組む予定である。
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