本研究は、琉球列島石西礁湖および周辺海域において採取した複数の現生および化石サンゴ年輪試料の酸素同位体比および金属元素濃度比による水温と塩分の復元を行った。また、U-Th法による生息年代の再評価を行った。 U-Th法による年代決定の結果、二つの長尺サンゴ年輪試料がほぼ同期間に生息していたことが判明したため、環境復元の再現性に関する厳密な評価を実施した。 中世気候異常期の水温は機関全体を通して、夏季は現在よりも約2℃低く、冬季は約1℃高かったことがわかった。また西暦1040年に気候のレジームシフト、具体的には、東アジア夏季モンスーンの弱化があったことが明らかとなった。
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