研究課題/領域番号 |
18K11626
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小林 祥子 玉川大学, 農学部, 准教授 (10537103)
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研究分担者 |
藤田 素子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (50456828)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 熱帯 / マイクロ波衛星 / 合成開口レーダ / SAR / 鳥類 / 森林構造 / 鳥類多様性 / 森林 |
研究実績の概要 |
近年の急速な生物多様性の喪失により、生態系や生物多様性の長期的なモニタリングが必要とされているが、東南アジアにおいての調査研究は非常に少ない。森林構造と生物多様性が正の相関関係にある既知の事実をベースとして、リモートセンシング技術を活用した森林構造の把握と鳥類多様性のモニタリングに注目が集まっている。本研究では、人工衛星搭載のL-bandマイクロ波リモートセンシングを利用し、インドネシアのスマトラ島の森林構造を説明する偏波パラメータから絶滅危惧種の鳥類出現率を評価することに成功した。 まず、対象地域の森林構造(林床植生、下層植生、林冠層)と強い相関関係があるLバンド偏波パラメータを特定し、いくつかの偏波パラメータが林床植生、下層植生、および林冠のそれぞれの層を説明することを明らかにした。次に、国際自然保護連合: IUCNにより指定されている絶滅危惧種の鳥類の出現率と、森林構造を説明するLバンド偏波パラメータとの相関関係を分析した。統計解析の結果、森林に依存し、絶滅の危機に瀕している鳥類種は、林床植生と下層植生を説明するLバンド偏波パラメータと有意な正の相関を示すことが明らかになった。特に、林床植生の増加に伴う、森林依存種と絶滅危惧種の出現率の指数関数的な増加が示された。 本研究の結果は、マイクロ波衛星リモートセンシングの活用により、森林構造を通じて鳥類の多様性を推定する可能性を見出した。その一方で、解析手法をより広い地域適用するには、より包括的な研究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ感染症の影響で、大学からの通達により海外調査地への渡航が認められておらず、現場調査へ約2年間行くことができていないため、現場調査データの取得が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、海外調査の見通しが全く立っていないため、これまでに取得したデータだけでなく、過去に収集したデータを集めて解析を進める。また渡航が可能になり次第、オーストラリア、インドネシアでの調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由として、コロナウイルス感染症のパンデミックにより、海外調査を行うことができなかったため、今後の計画として、インドネシア、オーストラリア、また国内での調査での使用を予定している。
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