北極域は寒冷であるため、植物の落葉落枝や過去に生育した植物体の大量の有機物が分解されずに残っている。地球温暖化による温度上昇は、こうした土壌有機物の分解を促進する。さらに、北極域では、温暖化に伴い原野・森林火災が増加している。原野・森林火災が起こると、燃焼時にCO2を放出する他に、土壌中に蓄えられている有機炭素の一部が燃焼する。温暖化が進むと、土壌有機物の分解が進むとともに原野・森林火災が増加し、さらなる温暖化をもたらす。どの程度原野・森林火災が増加し、土壌有機物が分解されてCO2として大気中に放出されるかは、温暖化予測と温暖化緩和策、温暖化適応策に大きく関わるが、未だ十分解明されていない。
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