本研究では、これまでの研究成果を踏まえて、環境標準試料の同位体測定法を一層発展させた。(1)低温灰化装置の汚染程度について評価を進めた。(2)同位体測定法についてさらなる測定法の改良を行った。特に試料の種類によって値の不安定を見せたマグネシウム(Mg)及び亜鉛(Zn)について安定した測定結果で出るように測定法の改良を行った。また、環境試料での含有量が非常にすくない鉛(Pb)とネオジウム(Nd)については標準溶液試料を用いて微量の試料でも測定できる分析手法について検討を行った。 (3)カルシウムを主とする骨格成分を持たない生物試料に対しても高精度同位体比の測定を行うために極微量ストロンチウム同位体比測定法について検討を進めてきた。MC-ICP-MSとTIMSを用いた測定法について評価を行い、現行測定法の限界と新しいシステムの必要性について検討を行った。特にMC-ICP-MSでの測定には予期せぬ干渉イオンの影響で極微量測定がほぼ不可能であることが明らかになった。
|