研究課題
(1)iPS細胞からDC細胞株の作製:複数のDC前駆細胞株様の細胞が得られ、その中には、GM-CSFなどのサイトカインで維持できそうな細胞もあり、それらの細胞株の機能とその機能発現の安定性等、特にLPS等の刺激による成熟化によるT細胞の活性化に重要な共刺激分子CD86/80の発現増強や、TSLP刺激によりOX40L発現増強などを調べ強く見られる細胞を選んだ。次に、感作性化学物質刺激による実験に用いようとすると、化学物質の存在下で細胞死が比較的低濃度でも見られることがわかった。そこで、同様な手法を用いて末梢血単球から遺伝子導入により単球細胞株を作製したところ、CD86発現増強などはiPS細胞由来とほぼ同等で、細胞死の誘導が少ない細胞株が得られ、この細胞を次の感作性の実験に用いることにした。(2)ヒト末梢血由来プライマリー細胞を用いた3次元DC/T共培養系の構築:まず、ヒト末梢血単球をGM-CSF+IL-4で刺激し分化誘導した未成熟DCとヒト末梢血由単核求由来ナイーブCD4+T細胞を用いて3次元DC/T共培養系を構築した。代表的な呼吸器および皮膚感作性化学物質としてOrtho-phthaldialdehyde(OPA)とOxazolone(OXA)を用いて刺激後、T細胞でのリアルタイムRT-PCR解析により、刺激2日目でOPA刺激によりTh2分化に重要な転写因子GATA-3の発現増強と、OXA刺激によるTh1細胞の分化マーカー分子であるIFN-g発現増強、さらに、刺激5日後には、OPA刺激によりTh2細胞の分化にマーカー分子でIL-4発現増強が見られた。また、(1)の単球細胞株を用いても、3次元DC共培養系で、代表的感作性化学物質を用いてOX40L選択的発現増強が観察された。
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