研究課題
2018年から2021年にかけて新潟市郊外におけるPM2.5の季節集中観測を行い、PM2.5中の有機成分の季節変動と経年変動を調べた。他の成分データとレセプターモデルを用いて、二次粒子、自動車排出ガス、バイオマス燃焼などの主要発生源のPM2.5質量濃度への寄与を評価するとともに、長距離越境輸送とローカル発生源の寄与を評価した。PM2.5の日平均濃度は0.7~40.3μg/m3であり、2018年と2020年の夏季には、大気質基準値(35μg/m3)を超える日が数日あった。バイオマス燃焼に由来する有機成分の大気中濃度は、秋季と冬季に高かった。秋季は近隣の野焼きの影響、冬季は中国東北部でのバイオマス燃焼の影響が大きいと考えられた。植物活動由来の有機成分は、植物の成長が活発な夏季に高い濃度を示した。ジカルボン酸のような光化学反応由来の有機マーカーは、日中の光化学反応が活発な春と夏に高い濃度を示した。レセプターモデルの1つである正値行列因子分解法(PMF)による解析では、春と秋に植物由来であるピネン系粒子の寄与が比較的大きいことが示された。夏は硫酸塩エアロゾルの寄与が最も大きく、植物由来であるイソプレン系粒子の寄与も他の季節に比べて大きかった。冬は硫酸塩エアロゾルや硝酸塩エアロゾルなどの無機二次エアロゾルの寄与が大きかった。更に、2019年に同地点で有機エアロゾル自動計測器を用いて、有機炭素(OC)と元素状炭素(EC)の1時間値を測定した。OC、EC共に2~3月にかけて濃度が極大になり、7月から8月に極小になる季節変動が見られた。先述の有機成分測定結果から、春季のOCの極大は二次生成有機粒子によるものだと考えられる。9月から12月にかけてもOC、EC濃度が高い現象がみられ、先述のように秋季は近隣の野焼きにより、冬季は中国東北部でのバイオマス燃焼が高濃度の要因と考えられる。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
https://www.acap.asia/research-main/study-maki_site/
https://www.acap.asia/research-achieve/