研究課題/領域番号 |
18K11685
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
森田 誠一 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (70332054)
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研究分担者 |
土井 正光 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 教授 (30217608)
西本 真琴 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (70609057)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バイオアッセイ / バイオセンサー / モデル細胞膜 / 脂質二分子膜 / コラーゲンモデルペプチド |
研究実績の概要 |
モデル細胞膜として,DPPC/DOPC系(炭化水素鎖の不飽和度の制御)およびDMPC/DMPE系(極性基のサイズと電荷の制御)二種類のリポソームを調製し,それぞれ蛍光プローブを用いた膜流動性,表面疎水性の評価および単分子層の圧縮特性から脂質膜のミクロ構造の推測を行った。いずれのモデル細胞膜においても膜流動性と表面疎水性との間に相関が見られたが,DPPC/DOPC系とDMPC/DMPE系では両者の依存性に違いが見られた他,DMPC/DMPE系では膜内での成分脂質の偏りが示唆された。 上記の脂質を用いて,蛍光物質であるカルセインを封入したリポソームを調整し,モデル細胞膜と農薬(7種)との相互作用の大きさを,リポソームからのカルセインの放出速度で評価した。1次の速度式に基づき指数関数によるフィッティングから放出速度定数および最大放出量を算出した。DPPC/DOPC系では放出速度定数および最大放出量ともに膜の組成および農薬の種類によって大きく変化したが,いずれのモデル細胞膜においても農薬の毒性(半致死濃度,LC50)との単純な相関は見られなかった。DMPC/DMPE系においてはカルセインの初期保持容量が極めて小さく,カルセインの放出を観測できなかった。 これらと並行して,脂質二分子膜の相転移と二分子膜中における脂質分子間距離および脂質分子の運動性との関連を明らかにするためにDPPC/DOPC系において温度並びに圧力の影響を調査した。 一方,リポソーム様のモデル細胞膜を金属表面に固定化するためのコラーゲンモデルペプチドについては,基本となる3残基×7ユニット(21残基)のモデルペプチドの大量合成および金属結合能の付与に成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年,研究代表者が高専間人事交流のため他高専へ転出していたことと,ラングミュアバランスの修理に予想以上の期間を要したため遅れが生じた。昨年は,その遅れも回復しつつ概ね研究計画に近づいている。
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今後の研究の推進方策 |
カルセイン放出速度による測定では表面極性の影響を調べるために実施したDMPC系では膜厚が薄く,カルセインの保持容量が小さかったため有意な測定ができていない。DPPCを主体とする系で表面特性の影響を検討したい。モデル細胞膜設計の指針とする。 一方センサとしてのパッケージングについては,電解質または電気活性物質を封入したリポソームを電極表面に固定化,目的物質との相互作用に伴う内容物の放出速度を電気化学的手法により検出できないかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末にエントリーした学会発表がコロナウィルス感染症対策のため,現地への移動がなくなり発表者2名分の旅費の支出がなくなったため。また,コラーゲンモデルペプチドの合成において一昨年度購入の消耗品が多く残っていたため。 これらは,モデル農薬の種類を増やすために利用する予定である。
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