研究課題/領域番号 |
18K11688
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
山口 進康 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 課長 (20252702)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オンサイト・モニタリング / レジオネラ / マイクロ流路デバイス / 蛍光染色 / 水環境 |
研究実績の概要 |
新興感染症であるレジオネラ症は国内でも入浴施設等において集団感染や死亡例が散発しており、その予防が重要となっている。レジオネラ属菌の検出にあたっては、通常の培養法では約2週間を要するため、より迅速に定量できる手法、特に現地(on-site)で応用可能な定量系が国内外で切望されている。そこで本研究では、独自に研究を進めているマイクロ流路デバイス(幅・深さ数十マイクロメートルの微小流路を刻んだ小型デバイス)およびポータブル・システムを用いて、水環境中のレジオネラ属菌をモニタリングするための手法を確立するために、以下の検討を行った。 (1) 独自に作製したポータブル・マイクロ流路システムを用いて水環境中のL. pneumophila数を高精度に測定するために、細菌数測定用の画像解析アルゴリズムを検討し、それをもとに自動計数ソフトを作成した。その結果、従来は検出が困難であった微弱な蛍光を発する細菌を検出できるようになり、測定精度が向上した。 (2) 浴槽水中のL. pneumophilaのモニタリングを行うために、モデル系を用いた研究の準備を研究協力者と進めた。本モデル系は循環式浴槽を模したものであり、水槽、循環ポンプ、ヒーターおよびろ過器モデル(礫層)から構成される。 (3) 検討を進めているon-site モニタリング法を一般化するために、レジオネラ以外の危害微生物のモニタリングに応用するための研究を進め、食中毒菌検出用のプロトコールを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目標を概ね達成できた。即ち、細菌数測定用の画像解析ソフトについては、改良の結果、検出精度を向上できた。また、次年度以降の研究を進めるためのモデル系の作製準備が進んだ。さらに、手法の一般化のための検討が進み、食中毒菌検出用のプロトコールを英文書籍として公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の検討結果をふまえて、水環境中のL. pneumophilaのon-siteモニタリングを実施するための検討を進める。具体的には、循環式浴槽モデルを用いて、検討を進めている手法の定量精度を確認するとともに、試料採取地点で実施可能な試料水の前処理法・濃縮法を検討する。また、on-site モニタリング法を一般化するために、レジオネラ以外の微生物をモニタリングするための検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年6月に発生した「大阪府北部地震」により、研究で使用しているポータブル・マイクロ流路システムが転倒・落下し、一部が破損するとともに、制御用のノートパソコンが損傷した。その修理に時間を要し、研究が停止した期間があった。 今後、研究計画に従い、水環境中のL. pneumophilaをon-siteでモニタリングするための研究を進める。
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