研究課題/領域番号 |
18K11700
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三浦 光 日本大学, 理工学部, 教授 (50157434)
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研究分担者 |
河府 賢治 日本大学, 理工学部, 准教授 (10424748)
淺見 拓哉 日本大学, 理工学部, 助教 (60706571)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超音波 / 煙霧質 / 凝集 / 微粒子 / 集塵 / 定在波音場 |
研究実績の概要 |
化石燃料の燃焼等によって発生するPM2.5に代表される大気中の微粒子は,人体の健康への影響が懸念されている。これらの集塵方法の一つに,音波を利用した集塵がある。音波集塵は,微粒子が存在する気体中に強力な音波を照射することで,微粒子を凝集肥大化させ回収する技術である。従来の検討より,音波集塵は集塵可能な粒子径の範囲が0.1~100 μmと広く,また圧力損失が低いにも関わらず集塵率が高いことが知られている。しかし,現在,音波集塵が実用化された例は殆ど無い。申請者らは,その妨げになっているのは低騒音で,かつ,小型で強力な音波を発生させる装置が開発されていないためであると考えている。そこで,本研究では可聴周波数範囲外の超音波に着目し,低騒音であり,小型で強力な超音波が得られる装置を開発し,その装置を用いて音波集塵の定量的な評価を行うことを目的としている。 令和2年度は,周波数28 kHzの小型超強力超音波発生装置を用いた実験装置の構築,およびその実験装置による凝集の検討を行った。凝集対象への効率的な超音波照射を実現するため,小型超強力超音波発生装置の両端に円筒を取り付けること考えた。その実験装置の構築のため,小型超強力超音波発生装置に対して円筒を取り付けた解析モデルにおける数値計算を行ったところ,超音波発生装置と同じ直径の円筒を取り付けることが最適であることを明らかにした。また,その装置を用い,凝集対象の煙霧質として主粒径が約1.0 μmである線香の煙を用いて実験を行ったところ,小型超強力超音波発生装置による煙霧質の凝集率は,装置内に流入する煙霧質の流量が1.0 L/minの場合,入力電力10 Wにて約45%,入力電力50 Wにて約84%となった。これより,既存の超音波装置と比較して,小型超強力超音波発生装置による凝集は,早い流速状態でも高い凝集率を達成できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度の研究計画は,平成30年度に開発した28 kHzの小型超強力超音波発生装置による種々の煙霧質による凝集の検討であった。研究実績の概要に記載の通り,小型超強力超音波発生装置による凝集は,煙霧質として線香を用いた場合,既存の超音波装置と比較して高い凝集効果が得られることを明らかにしている。その成果は,日本音響学会春季講演会等において口頭発表2件を行った。しかしながら,コロナ禍の影響によって,種々の煙霧質による検討が未実施の状態である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終的な目標は,小型で強力な超音波が得られる装置を開発し,その装置を用いて音波集塵の定量的な評価を行うことである。その目標のために,令和3年度は以下の検討を行なう。 1. 小型で超強力な超音波発生装置の設計方法において,他の周波数でも適用できる方法に改良を行う。 2. JIS試験用粉体による凝集の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)コロナ禍により計画通りに研究が進まなかったため,JIS試験用粉体費,および実験装置を構築するための物品費に残額が生じた。 (使用計画)次年度の使用計画は,まずJIS試験用粉体の購入費用に充てる予定である。また,周波数の異なる実験装置を構築するための製作費に充てる予定である。
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