本研究では、内外装や建具といった建築の非構造部に用いられる建材(以下、非構造建材)を対象として、多様化する非構造建材の複合化の実態を体系的に捉えるために、資源循環性の観点から個々の非構造建材の使用後の解体分離性・再資源化可能性の実態を明らかにし、非構造建材の設計指針となり得る資源循環性を軸とした定量的評価指標を構築することを目的としている。 本研究では調査①として、建設段階における住宅用非構造建材の使用実態を明らかにし、調査②として、構成材料・接合方法等の建材詳細情報、建材の解体分離設計実態、設計時の再資源化可能性に対する認識等を明らかにした。また調査③として、現状の処理実態、解体分離時・再資源化時の問題点、建材設計に対する要望等を明らかにした。 平成30~令和元年度は、調査①②として、建材製造業者とリサイクルにつなげる中間処理業者に対してヒアリングを行い、基本的な建材の実態の概要を把握した。成果としては、現状の処理実態、解体分離時・再資源化時の問題点、建材設計に対する要望等を明らかにした上で、タイプや状況の異なる4建材について想定されるフローを示し、課題と対策についてとりまとめた。これにより、非構造建材の資源循環性を決定づける要因として、構成材料・複合方法の可逆性、及び廃材を循環させる回収システムの評価、提案を行うためのデータを整えた。 令和2年度は調査③を実施した。具体的には、複合建材に使用されることが多いプラスチックのリサイクル業者に絞って、リサイクルの業者に影響を与える要因について現地調査及びヒアリング調査を行った。そこから資源循環に影響を与える要因について考察を加えた。これらの成果をもとに、資源循環性の定量的な評価指標として、再資源化の達成度を評価する再資源化率について、「理想値」、「理論値」、「実現可能値」の3種類用意し、目的に応じて使い分けることを提案した。
|