研究課題/領域番号 |
18K11710
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
岡崎 文美 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80545228)
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研究分担者 |
原 清敬 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40434378)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | β-1,3-キシラナーゼ / β-1,3-キシラン / 海藻バイオマス / 変異型イチイズタ / 統合バイオプロセス / 細胞表層工学技術 |
研究実績の概要 |
本研究は、海藻バイオマスから様々な有用化学品を生産するためのプラットフォームの構築を目的とする。無尽蔵に増殖し沿岸生態系の破壊を引き起こしている有害海藻である変異型イチイズタをバイオマス源として、その細胞壁の主要構成多糖であるβ-1,3-キシランから有用化学品を生産する新たな技術を開発する。 昨年度までに、超好熱性海洋細菌Thermotoga neapolitana由来の耐熱性β-1,3-キシラン分解酵素群を用いた海藻バイオマスからの効率的キシロース生産技術を構築した。さらに、新たに細胞表層提示系に適した3種類の新規β-1,3-キシラン糖化酵素群をヒト腸内細菌のゲノム配列中から見出し、酵素学的諸性質を明らかにした。これらの酵素群が海藻多糖β-1,3-キシランに相乗的に作用して単糖であるキシロースに分解した。これら酵素の特性は海藻バイオマスに含まれるβ-1,3-キシランの資化に有用であることが考えられたことから、今年度は、これら3種類の酵素を細胞表層するためにアンカータンパク質との融合タンパク質として発現させるベクターを構築した。予備検討として大腸菌を用いて発現を確認したところ、いずれの酵素も細胞表層に提示され酵素活性を有することが確認された。今後、酵母や好塩性細菌ハロモナスなどの物質生産宿主に遺伝子を導入し、各酵素の発現条件を最適化することにより、海藻資源中の未利用糖質であるβ-1,3-キシランの有効利用技術につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内で入手可能なイチイズタやクビレズタなどのβ-1,3-キシランを含有する養殖海藻資源を対象として研究をすすめ、藻体の酵素糖化に成功した。β-1,3-キシラン分解酵素群の細胞表層提示についても着実に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、腸内細菌由来の3種類の新規β-1,3-キシラン糖化酵素を細胞表層に提示した物質生産宿主を構築し、統合バイオプロセス(CBP:Consolidated Bio-Process)による海藻からの有用物質生産系を構築する。宿主には酵母以外にも好塩性細菌であるハロモナスを用いてエクトインなどの有用物質生産を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の海外渡航計画が中止となり、計上していた旅費分が繰り越されたため。当初の研究計画に沿った内容の研究結果を出せるように、国内で調達した海藻資源を用いた研究の消耗品におよび分析費用等に使用する計画である。
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