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2018 年度 実施状況報告書

ガス電極と電池反応を利用した省エネルギー型希土類金属リサイクルプロセスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K11711
研究機関大阪大学

研究代表者

小西 宏和  大阪大学, 工学研究科, 助教 (60379120)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード溶融塩 / 希土類金属 / ガス電極 / リサイクル
研究実績の概要

本研究では、使用済みとなって廃棄処分された製品を解体して回収されたネオジム磁石をアノード電極、塩素又は酸素ガス電極をカソード電極に用いた電池反応を利用した省エネルギー型希土類金属リサイクルプロセスの開発に関する研究に取り組む。本年度は、溶融塩中でネオジム磁石単極と酸素ガス単極の電気化学的挙動を調査した。723 Kの共晶組成のLiCl-KCl中において作用極にネオジム磁石、対極にグラッシーカーボン、参照極に銀-塩化銀(Ag+/Ag)電極を用いて、0.26 mA/cm2のクロノポテンショメトリーを行ったところ、ネオジム磁石(Nd-Fe-B相)からのNd(III)と少量に含まれた他の希土類イオン(Dy(III), Pr(III))の溶出が1.35 V(vs. Li+/Li)より貴な電位で生じることがわかった。また、同様に5.05 mA/cm2のクロノポテンショメトリーを行ったところ、ネオジム磁石からのFe(III)イオンの溶出が2.00 Vより貴な電位で生じることがわかった。これらの結果を踏まえると、ネオジム磁石を1.35-2.00 Vに保持した場合、希土類元素のみを選択的に溶出することができることがわかった。一方、823 Kの共晶組成のLiCl-KCl中にLi2Oを0.50 mol%を添加した浴中において、酸素ガス電極を作用極に用いて1.20-2.10 Vカソード分極したところ、1.6 Vで-8 mA、2.0 Vで-5.0 mAのカソード電流が流れた。以上の結果から、ネオジム磁石をアノード電極、酸素ガス電極をカソード電極に用いた電池反応を利用した省エネルギー型希土類金属リサイクルプロセスの開発に関する基礎的な知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、溶融塩中でネオジム磁石単極と酸素ガス単極の電気化学的挙動を調査した。溶融塩としては、LiCl-KClの共晶組成のものを用いて450℃でクロノポテンショメトリー等の電気化学測定を行い、ネオジム磁石(Nd-Fe-B相)からのNd(III)と少量に含まれた他の希土類イオン(Dy(III), Pr(III))が選択的に溶出させる電解条件を見出した。さらに、酸素ガス電極をカソード分極した際の電流と電位の関係を見出し、希土類元素の選択的溶出に利用できる電解条件を見出せた。これまでに得られた成果から、ネオジム磁石をアノード電極、酸素ガス電極をカソード電極に用いた電池反応を利用した省エネルギー型希土類金属リサイクルプロセスの開発に関する基礎的な知見が得られたので、研究の進捗は予定通りである。

今後の研究の推進方策

酸素ガス電極単極の電気化学的挙動については、電流値の温度依存性、流量依存性、浸漬深さ依存性など、より詳細な最適条件を明らかにする。また、ガス電極の形状・材質依存性も調査し、より実用化に近づける。以上のような知見が得られた後、実際に、実験温度450℃、ネオジム磁石をアノード電極、酸素ガス電極をカソード電極に設置して、酸素ガスを溶融塩中に導入し、その際の電極間の電流・電圧を測定する。この実験から、実際に電池を組んだ際の、電流と電位の関係を見出すことができる。また、選択的に溶出する希土類イオンNd(III)、Dy(III)、Pr(III)については浴中の濃度をICPによって分析して確認する。

次年度使用額が生じた理由

申請当初は、装置の老朽化で新規装置が必要であったため、物品の経費の割合を高く設定していた。しかし、今年度の実験を始めてみると、以前から所持していた装置、他予算で購入した装置を利用して研究を着実に遂行することができた。また、消耗品についても、残存していた試薬、反応管等を最大限利用し研究を遂行したため、思ったより大きな出費にならなかった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Investigation of Molten Salt Chemical Cell Using Nd Magnet Scraps and Gas Electrodes in Molten Chlorides2019

    • 著者名/発表者名
      Hirokazu Konishi
    • 学会等名
      IBA2019
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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