研究課題
基盤研究(C)
海岸砂丘が持つEco-DRR機能解析のために,鳥取砂丘海岸を対象に砂丘と植生の安定性評価を行った。数十年単位の長期には,人間の働きかけによる直接変化が大きかった。10年単位での砂丘内の砂移動量からみると,植物が生育する場所は砂が堆積傾向にあり,外来植物は砂移動量が少ない場所に生育する傾向がみられた。研究期間中に短期の植生変化は認められなかった。海岸砂丘では在来植物が砂を補足して堆積させる機能を持ち,砂丘のEco-DRR機能維持と向上に貢献している可能性が考えられた。
植物生態学
本課題では,国立公園鳥取砂丘内に初めて設置された昆虫の保護柵を活用して,人の踏みつけによる海浜植物の生育への影響を解明した。砂丘の植物が踏みつけられることにより枯死が増え、植物の生育状態が悪化する状況を詳細に解析し,論文発表した。砂蓄積など過去数十年間の記録を解析し,Eco-DRR機能を含めた鳥取砂丘の自然生態系に関する学術的知見をとりまとめた英文書籍「Tottori Sand Dunes」を2022年春に出版し,海岸砂丘がもつEco-DRR機能について社会に発信することができた。