谷津(台地の辺縁部に発達する小規模な谷、谷戸)を生物のハビタットの観点から評価した。谷津は多くの絶滅危惧種にとって重要な生息場所となっていることが確認された。谷津の生物相を支える湧水の量は、集水域の土地利用に影響されることが示唆された。都市化により台地上での雨水浸透面が減少すると、湧水が減少・枯渇することが考えられる。また谷津に依存して分布する種の一つであるスナヤツメのハビタット利用を調査し、河川内を季節的に移動しながら個体群を維持していることが示唆された。都市化による湧水の枯渇や河川の分断化は、谷津に依存した種の個体群に対する脅威となり得る。
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