研究課題/領域番号 |
18K11734
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
亀山 哲 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (80332237)
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研究分担者 |
今藤 夏子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (10414369)
松崎 慎一郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (40548773)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ニホンウナギ / 環境DNA / 森里川海 / 森里海 / 瀬戸内海 / ウナギ / 淡水魚類 / 生息地評価 |
研究実績の概要 |
2020年度は、コロナウィスルの影響で現地調査および環境DNAサンプリングに大きな制限を受けた。しかし感染影響の配慮を最大限行い、2020年9月9~17日、九州有明海沿岸・八代海沿岸域の主要水系においてステリべクスによる環境DNAサンプリングを行った。2021年5月現在、各試料は国立環境研究所において分析中である。前年2019年度分析結果に関しては、淡水魚類(特にニホンウナギ)の在/不在を判断し、位置情報を基に空間結合行った。最終的にニホンウナギを含む絶滅危惧種淡水魚類の生息地評価デジタル地図を作製した。GISデータベース構築では、河川水質データ・河川水温データ等の拡充を進め、全国を対象に内水面漁業捕獲量(ウナギ)・産地市場別水揚げ情報(おさかなひろば)・海面漁業生産統計調査を追加整備し、ウナギの生息実態に加え全国沿岸域の水産資源状況をより詳細に定量化した。上記を基に、流域圏における移動阻害、生息適地の減少、餌資源の減少等といった生息地ポテンシャルの低下が回遊性絶滅危惧種へ及ぼす影響を議論した。今年度は継続的に河川をより限定し空間解析を優先的に行う予定である。さらに将来的には対象範囲の拡大を図りつつ、地域全体を対象とした流域診断及び生息環境の保全と資源回復のあり方を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年4月現在までの進捗状況の判断については既存調査資料の分析は「おおむね順調に進展している」である。しかし現地調査においてはコロナウィルスの影響があり、調査期間及び調査範囲の変更を余儀なくされた。しかし調査期間全般を通して天候に恵まれ、調査範囲内においては順調に各対象河川の環境DNA分析資料を収集することが出来た。 今年度以降も、コロナウィルス感染拡大の影響に関しては最大限の警戒と配慮を行いつつ、残りの対象範囲を中心に同様の現地調査を実施する見通してある。また同時並行として進めている流域ビッグデータの構築においては、特に水産フードシステムに関する広域データの拡充を行う予定であり、今年2021年前半を目途に完成させる予定である。 成果の発信については、現状を継続し研究成果の一部を他の研究成果と統合してニホンウナギを含む絶滅危惧種の生息地保全と資源量の回復に資する研究成果を目指す。また同時に研究成果のアウトリーチ活動として研究所外の各研究機関に出向き、講義や講演を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本科研費研究と国立環境研究所PJ5プロジェクト「絶滅危惧種を対象とした流域圏における回遊環境の保全と再生」また外部資金課題(京都大学ReCONNECT)との整合性を高め、主に全国の主要河川(主要一級河川と瀬戸内海流入流域等)においてeDNAデータ及びGISデータを拡充するとともに、生息地評価を継続する予定である。 特に現地調査(河口域および河川横断構造物前後のeDNA調査)と空間情報解析を融合化する形で生息環境の時空間的変容について要因解明と対応策の検討を計画している。 更に研究を高度化し、環境DNA分析により得られるウナギを含む絶滅危惧淡水魚類の生息地情報と流域圏別の水質・分断状況・土地利用等を統合的に解析すると共に、各水系別の生息地と生態系サービス評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
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