研究課題/領域番号 |
18K11738
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
奥村 哲也 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (10380817)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 浸透膜 / 濃度分極 / ファウリング |
研究実績の概要 |
現状の浸透膜モジュールでは,浸透膜が本来持っている浸透性能の1/3程度しか発揮されていない.浸透膜の透水性能を低減させる大きな要因として,塩分濃度分極とファウリングという現象がある.本研究では,これらの現象を,水の流体力学的な挙動,イオンの移流・拡散挙動を連成解析する数値シミュレーションを開発し,それを用いて,透水性能を低下させる現象のメカニズムとその特性を解明し,本来の膜性能を発揮・維持する方法を開発することを目指す.2018年度は,濃度分極やファウリング解消法を検討するにあたって,まずこれらの現象をコンピュータ上でシミュレーションを行うことができるモデル・プログラムの開発を行った. (1)濃度分極のモデル化: 膜(平膜・中空糸)での正浸透を計算することができるシミュレーションプログラムを開発し,静水中における中空糸膜表面のイオン濃度分布および水の浸透量について検討した.その結果,中空糸の径が大きいほど単位膜面積あたりの浸透量が少ないことがわかった.また,中空糸間の距離が小さいと膜間のイオン濃度が低くなるため浸透量が少なくなることが分かった. (2)ファウリングのモデル化: 浸透膜におけるファウリングを計算することができるシミュレーションプログラムを開発し,ファウラントと浸透膜の親和性が水の浸透量に及ぼす影響について検討した.その結果,ファウラントが膜表面に広がりやすいほど浸透量が少なくなることが分かった. (3)気泡のモデル化: 水中における気泡の挙動を計算することができるシミュレーションプログラムを開発し,水中の気泡近傍におけるファウラントの挙動について検討した.疎水性のファウラントが気泡表面に吸着しやすいことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した内容に沿って,濃度分極・ファウリング・気泡のモデル化を行いシミュレーションプログラムの開発を行った.大きな問題もなく進んでいるため,「おおむね順調に進展している.」とした.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,浸透膜表面近傍の濃度分極およびファウリングを低減する方法について検討する. (1)水の流れの非定常性がイオンの拡散およびファウリングに及ぼす影響について検討する. (2)膜の表面形状や膜の配置が濃度分極の形成に及ぼす影響について検討する. (3)水中および膜表面近傍における気泡およびファウラントの挙動について検討する.
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