研究課題/領域番号 |
18K11740
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
諏訪 晴彦 摂南大学, 理工学部, 教授 (40299029)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 体積比消費エネルギー / 消費電力 / 放電加工機 / 小型協調ロボット |
研究実績の概要 |
ワイヤーカット放電加工機と作動時消費電力の計測実験を行った。同じ厚さの被削材を3種類用意し(S45C,S50C,sdk11 ),異なる3種類の工具経路(直線,斜線,円弧)とを組合せ,各々の組合せについて消費電力計測を行った。実験の結果,いずれの工具経路においても加工開始から180secまでは,3.5kWから6.7kWの範囲で消費電力(W)が変動し,180sec以降ではほぼ一定の値を取ることがわかった。直線および円弧加工では6.2kW,斜線加工では6.0kWであった。また,斜線加工は直線および円弧加工よりも加工速度が20~30secほど長くなることもわかった。全般的にマシニングセンターやCNC旋盤に比して,消費電力の時変化の景観は複雑である。そこで,材料除去率(MRR)と体積比消費エネルギー(SEC)の平面に実験結果をプロットしたところ,MRRが0.2~0.3 mm^3/s,SECは18~25(kJ/mm^3)程度で分布することがわかった。これは,選定した被削材の導電性が比較的類似していることに起因する。放電加工機の体積比消費エネルギーの汎化モデルを構築するには,導電性の異なる材料での実験(結果)が必要である。既往研究のアルミ合金のほか,クロムモリブデン系ステンレス鋼の採用を検討している。 また小型協調ロボット(6軸マニピュレータ)について,各軸ごとの消費電力,さらには所定のピックアンドプレース動作において,いくつかの異なる経路での消費電力を計測した。各動作実験について,ピーク消費電力(W)や消費電力量(J)は異なることが明らかとなったが,消費電力は最大でも300Wを越えることはなく,工作機械のそれに比べると小さい。ロボットの消費電力低減を講じるよりは,ロボットの動作スケジューリングにより生産システム全体の消費電力(ピーク)低減を図ることが効果的であろうという知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画では,複数のCNC工作機械を対象として,1)さまざまな被削材および加工条件の下での加工・計測実験を実施すること,2)消費電力計測データに基づいて加工能率と体積比エネルギーの関係性および一般性を分析することの2点が実施内容であった。実験結果を見る限りでは,1)の関係性を理解するには計測データの量が必ずしも十分ではなかった。一方で,搬送ロボットの消費電力の基礎実験を前倒しで実施できたことは研究遂行の上では成果があったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
・ワイヤーカット放電加工機,マシニングセンターを対象として,さらに網羅的に消費電力の計測実験を行い,被削材及び加工条件ごとの消費電力について,加工能率(材料除去率)-体積比エネルギー平面上にマッピングを行い,体積比エネルギーに基づく生産システム運用の最適化の基盤構築を目指す。 ・2018年度中に搬送ロボットとCNC旋盤を組み合わせた自動製造セルを構築した。この製造セルを題材として,現在考案中の体積比エネルギーに基づくエネルギー効率指向の運用方策の実証実験を行う。
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