研究実績の概要 |
本研究では、IPAと硫酸塩を含む排水のCOD濃度とHRTを変更し、UASBの最適な処理条件について検討する。本研究で用いたUASBは、高さ118 cm、水容積8.0 L、処理温度31から34oCであった。全期間に共通して補助基質に酵母エキス250 mg-COD/L、電子産業に特徴的な硫酸塩300 mg-S/Lとなるように添加した。 期間IVでIPA 10,000 mg-COD/L、HRT 16 h、OLR 15.0 kg-COD/m3/dayで運転すると、期間の開始直後を除き、280から317日目で全CODの平均が266 mg-COD/Lとなった。同期間で硫酸塩は完全に還元された。期間VでOLRは変更せず、IPA 5,000 mg-COD/L、HRT 8 hに変更すると、366日目を除き、全CODの平均が249 mg-COD/Lとなった。期間IVと期間Vで残存したCODに大きな差はなかった。硫酸塩還元は、SLRが2倍になることで、2週間低下した。期間IVは、メタン回収率も高く、希釈水量を削減することもできるため、IPAのメタン発酵処理に最適な条件であった。 期間IVにおいて、通常排水、硫酸塩を除いた排水のUASB高さ方向プロファイル調査した。通常排水は高さ20 cmでIPAが大幅に減少し、アセトンが2065 mg-COD/Lであった。硫酸塩は20 cmで完全に還元された。硫酸塩を除いた排水は、通常排水と異なりアセトンが40 cmまで上昇した。UASB内のpHとORPは通常排水、硫酸塩無を除いた排水でそれぞれ6.85と-370 mV、6.15と-186 mVであった。硫酸塩還元が良好な嫌気条件を整え、アセトンの分解を促進したと考えられる。硫酸塩還元は直接アセトンを利用しておらず、硫酸塩還元活性の結果と合致した。
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