研究課題/領域番号 |
18K11745
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
林 清忠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主席研究員 (40355475)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ライフサイクルアセスメント(LCA) / シナリオ不確実性 / プロスペクティブLCA / 意思決定 / 持続可能な調達 |
研究実績の概要 |
ライフサイクルアセスメント(LCA)を用いた将来技術の評価方法として発展してきたプロスペクティブLCAにおいて、シナリオ不確実性の分析方法を拡張し、時間的不確実性だけでなく、空間的不確実性を明示的に考慮するため、事例ベースの検討を実施した。 まず、インドネシアにおけるオイルパーム生産を取り上げ、スマトラ島におけるプランテーションの実態に基づき、土地利用変化をLCAにおいて定式化する際の問題点を検討した。問題の根底にマーケットプロセス(ライフサイクルインベントリデータベースにおいて物的変換を伴うプロセスの対となるプロセス)における平均化の操作があることを確認し、類型別土地利用データを参照しつつその修正の可能性を検討した。また、オイルパーム生産で使用される肥料の製造については、本来の地域における肥料製造データでなく、他地域のデータを使用した場合に生じ得る不確実性を試算した。食品用途等でのパームオイル利用時において、原料調達場所の想定に伴う不確実性も併せて検討した。 次いで、原料調達上重要であるとともに、土地利用変化に伴う環境影響が大きいと予想される生産の他の例として、ベトナム南部におけるエビ養殖を取り上げた。現地における生産の実態を調査し、伐採は禁止されているが養殖は許可されているマングローブ林(保全林)内での養殖,養殖地内にマングローブ林を残した養殖,慣行の養殖という3類型があることを確認した。それに基づき、発生し得るシナリオ不確実性の幅の計算方法に検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年次は、時間的・空間的シナリオ不確実性を考慮したプロスペクティブLCAを構築するための方法論の検討、ならびに分析に必要となるデータ収集と関連調査を実施する計画であった。「研究実績の概要」の個所で説明したように、各研究項目の進捗状況はほぼ予定通りであり、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
土地利用変化が環境影響の評価において重要な意味を持つ作物生産を対象とし、プロスペクティブLCAにおける時間的・空間的シナリオ不確実性の解析に引き続き取り組む。理論面の検討においては、意思決定分析の枠組みの適用可能性を検討する。分析に必要となるデータについては、土地利用変化に関するデータに加え、ミクロデータ等詳細な生産データの収集を行うとともに、必要に応じて現地調査を実施する。得られた成果については、国際会議等での公表に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 次年度使用額444,215円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。 (使用計画) 次年度使用額は、次年度に請求する研究費とあわせて、調査ならびに研究報告のための旅費の一部として研究計画遂行のために使用する。
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