研究課題/領域番号 |
18K11745
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
林 清忠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主席研究員 (40355475)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ライフサイクルアセスメント(LCA) / シナリオ不確実性 / プロスペクティブLCA / 意思決定 / 持続可能な調達 |
研究実績の概要 |
シナリオ不確実性下における持続可能な調達等の問題を解析するため、将来技術の評価方法として発展してきたプロスペクティブLCAにおける時間的・空間的不確実性に関する検討を継続した。その中で、まず、シナリオ不確実性をエピステミック不確実性(知識の不十分性に基づく不確実性)として定式化することにより、知識水準に対応した確率分布を導出する方法を検討した。ライフサイクルインベントリ分析においては、データの質(信頼性、代表性等を表すカテゴリカルな情報)に基づいた不確実性の導出が一般的であるが、環境基準や環境ラベルを考慮したインベントリ分析を実施するためには、知識水準を表現する情報が処理できる別のアプローチが必要である。そこで従来とは異なる定式化の方法を、エピステミック不確実性の概念に基づいて検討した。これにより、土地利用変化の問題(対象となる農産物が森林減少・劣化とどの程度関わっているか等の問題)に対処することが可能となった。ただし、現状のLCAソフトウェアでは計算できない意思決定問題となるため、代替的計算手順を探索した。 また、土地利用変化が生物多様性に与える影響を上記枠組において処理することを意図し、ランドスケープとサウンドスケープを一体的に解析する方法に検討を加えた。その中で、分析結果(多様性の大小関係)がスケールに依存することが示された。 さらに、環境負荷低減を目指した農業技術開発の評価に焦点を当て、持続可能な農業システムへの転換(トランジション)を分析する枠組を構築し、生産物当たり環境影響を、収量増加の効果と面積当たり環境改善の効果に分解する方法を検討した。前者を他地域における生産の増減と連結することにより、追加的な(拡張した評価範囲における)環境影響の増減を算出する方法を併せて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、理論面の検討においては、LCAにおけるインベントリ分析への意思決定分析の適用可能性を検討し、事例に基づきつつ理論的深化を行う計画であった。また、事例ベースの評価においては、土地利用変化が環境影響の評価において重要な意味を持つ事例を検討する中で、土地利用変化に関するデータ等を追加収集するともに、必要に応じて現地調査を実施する計画であった。理論面については、おおむね順調に進展したが、コロナ禍において現地調査が実施できなかったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
プロスペクティブLCAにおける時間的・空間的シナリオ不確実性の解析に引き続き取り組む。理論面の検討においては、LCAにおけるインベントリ分析への意思決定分析の適用可能性を検討し、エピステミック不確実性と環境ラベルの関係等の分析を前進させる。事例ベースの評価においては、土地利用変化が環境影響の評価において重要な意味を持つ事例を引き続き取り上げる。海外出張が可能な状況であれば現地調査を実施し、土地利用変化等に関するデータを追加収集する。また、環境負荷低減を目指した農業技術開発における時間的・空間的不確実性に焦点を当て、新技術に関するインベントリデータの構築過程において、意思決定分析の適用可能性を検討する。得られた成果については、国際会議等での公表に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)次年度使用額は、コロナ禍において現地調査の実施が困難であったこと、参加した国際会議がオンライン開催であったこと、研究費を効率的に使用したこと等によって発生した。 (使用計画)次年度使用額は、物品費、その他研究経費として、また調査ならびに研究報告のための旅費として研究計画遂行のために使用する。
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