研究課題/領域番号 |
18K11746
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
平岡 俊一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (70567990)
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研究分担者 |
的場 信敬 龍谷大学, 政策学部, 教授 (10532616)
木原 浩貴 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (50815355)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自治体エネルギー政策 / 中間支援組織 / オーストリア / エネルギー・エージェンシー |
研究実績の概要 |
本研究では、基礎自治体におけるエネルギー政策に対して調査研究、助言、教育などの支援を行う地域密着型の「中間支援組織」に焦点を当て、日本での体制整備と機能強化のあり方について、同組織の設立等が先行している欧州と途上段階の国内での調査をもとに考察を行っている。 1年目にあたる2018年度は、中間支援組織の組織体制や活動機能の整備・強化に関して日欧の関連組織による取り組みの現状や課題について把握、比較することを目的に、国内ならびに欧州内でも特に積極的な整備が進められているオーストリアの中間支援組織を訪問し、各組織の設立プロセス・活動内容を確認した上で、推進体制の構築、専門人材の獲得・育成、財源の確保などに関連するインタビュー調査を実施した。 オーストリアにおける調査では以下のことを把握することができた。①同国では、主に州の単位で、自治体エネルギー政策を対象にした中間支援組織・体制が整備され、エネルギー政策に取り組む自治体は、同組織から派遣される専門的知見・ノウハウを有する職員から、調査研究、助言、教育、会議の進行、ワークショップのファシリテートなど、多岐にわたる支援をきめ細かく受けている。②それらの中間支援組織は非営利型の民間組織の形態がとられているが、いずれも州政府が設立を主導し、財政的な負担も一定程度行うなど、州が強く関与している中間支援組織になっている。③ただし、組織の会員等として、地域内の関係主体が組織運営に関与する形がとられている中間支援組織も少なくない。④これらの取り組みは、連邦政府の法律等で義務付けられているのではなく、基本的には各州政府や基礎自治体の自主的に判断によるものと考えられる。 これらの結果については、2019年度前半のうちに論文、学会発表の形で公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、欧州内でも特にエネルギー政策分野の中間支援組織の整備が進んでいるオーストリア国内の全体像をほぼ把握することができた。当初は、EU等による中間支援組織強化等に関する政策方針、戦略を把握した上で、各国の中間支援組織の事例調査を実施する予定だったが、先に個別事例を調査しておいたほうが、EUレベルでの調査も効果的に実施できると考え、調査計画を変更した。オーストリアでの取り組みの全体像を把握したことで、2019年度に予定しているEUレベルの諸組織を対象にした調査を実施する際のポイント等をある程度絞り込むことができた。 一方、国内調査に関しては、北海道内の中間支援組織を対象にした調査は継続的に実施できているが、他地域での調査の実施が当初の予定よりも若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
エネルギー政策分野での中間支援組織の整備について、欧州では促進政策が推進されてきた一方で、日本ではなぜそれが盛んではないのか、その背景にある日欧のエネルギー政策における知的・人的基盤の強化等に関する戦略を把握、比較する調査を実施する。具体的には、欧州および日本国内における自治体の政策推進機能の強化等に関する文献調査を行った上で、中間支援組織の促進政策を担当する日欧の政府機関(欧州委員会、国、州、都道府県)、同組織に対する支援を担当する専門組織(European Federation of Agencies and Regions for Energy and the Environment等)を訪問し、インタビュー調査を実施する。 加えて、日本において自治体エネルギー政策を支える中間支援組織を整備・強化していく上で今後必要になる取り組み等に関する提言の作成に向けて、研究分担者が所属する京都府内の中間支援組織をフィールドにした参与観察調査を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していた国内の中間支援組織(福島県等)の訪問について、研究メンバー間での日程調整がつかず、調査実施を延期したため。この調査については2019年度中に実施する予定である。
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