研究課題
本研究の目的は、社会経済システムと気候システムの間の相互作用を考慮した新たな分析モデルを構築し、将来の気候変動およびその対策(緩和策)がもたらす社会経済的影響を全球規模で評価することである。具体的には、まず、社会経済の側面として動学的応用一般均衡モデル(CGE)を、気候の側面として中程度に複雑な地球システムモデル(EMIC)等を用い、両モデルの入出力データをやり取りする結合方式(ソフトリンク)により連携した新たなモデルを構築する。そして同モデルを用い、多様な将来シナリオ下の気候変動とその対策の社会経済的影響を評価する。平成30年度は、最終的な研究目標を達成するために、まず査読付き論文やIPCCの評価レポートを用いた文献レビューを行った。そのうえで、社会経済システムと気候システムの相互作用の一例として気候変動が労働生産性を通じて経済に及ぼす影響について分析を行った。後者の分析に関しては、社会経済の側面は当初の計画どおりにCGEモデルを用いたが、気候の側面に関してはモデル間の相互作用を簡易的に分析するために簡易気候モデルを用いた。本研究を通じて、多様な気候変動シナリオの下で、モデル間相互作用を考慮して気候変動が労働生産性の変化を通じて将来の社会経済に及ぼす影響を明らかにした。レビューの結果については、国内学会(日本地球惑星科学連合2018年大会)で報告した。また、経済分析は、国際会議(3rd HAEE International Conference・開催地:ギリシャ・アテネ)で報告し、査読付き英文誌(Journal of Clearner Production)から出版された。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載した平成30年度の計画である文献レビューを完了し、モデル間の連携の開始および一部分析を実施し、報告・論文化することができたため。
平成31年度は、平成30年度にまとめた情報をもとに未着手のモジュールに基づくモデル間相互作用を進める。特に、EMICを用いた分析を本格化する。
(理由)今後の研究のさらなる推進のため、次年度に追加的な海外での打ち合わせや論文の投稿等にかかる費用が必要となった。そのため、今年度予定していた国際会議や国内学会にかかる旅費や機器の購入費についは別予算により補った。(使用計画)研究のさらなる推進のため、海外での打ち合わせ用務のための旅費、および積極的に英文誌に投稿するための英文校閲や投稿料に利用する予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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