本研究では、日本の農家による環境保全型農業の採択要因の分析を行った。本研究は、2015年農林業センサスの個票データを用い、環境保全型農業に取り組む茨城県内の農業経営体の特徴を統計的に明らかにした。分析の結果から,経営規模と環境保全への取り組み確率には逆U字の関係があり、農業部門全体の政策の方向性である昨今の農地集積を通した経営規模拡大と環境保全型農業の普及が概ね両立することが示唆される。また,農産物の販売経路によって環境保全型農業への取り組みには違いが見られることを示した。環境保全型農業の普及のためには、経営体の経営戦略や出荷先ごとの異なる消費者を見据えた制度設計の必要があることが明らかとなった。
|