研究課題/領域番号 |
18K11760
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
根本 志保子 日本大学, 経済学部, 教授 (70385988)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 環境倫理 / アソシエーション / 自発的供給 |
研究実績の概要 |
産消提携運動の思想と実践の経済学的分析のため、これまでのフィールド調査における収集データを使い、消費者の参加動機と社会的選好の観点からクロス集計の残差分析およびテキストマイニングによるクラスター分析を実施した。成果は、環境経済・政策学会2022年大会(10月2日)にて「有機農産物の消費者運動における消費者の環境倫理と社会的選好-日本とオランダの消費者団体会員へのインタビューから」、日本有機農業学会第23回 大会(2022年12月11日)にて「有機農産物の消費者団体における消費者の社会的選好と組織運営-日本とオランダの4団体のインタビューデータ分析」として発表した。また調査先であるNPO法人所沢生活村について「所沢生活村50年の消費者運動史」『所沢生活村50周年記念誌-自然と食と人をつないで』(2023年2月18日)として寄稿した。 成果として、日本とオランダのそれぞれ2団体での調査において、消費者会員の参加動機について結果を得た。1973年に活動を開始した日本の消費者運動2団体では、①当初の目的である「自分や家族の食べ物の安全性」とは別に、消費者会員の参加動機に関する定量的把握を分析、ボランタリーベースの組織運営の長期的な継続性の困難の原因も併せて分析した。一方、2011年以降に活動したオランダの2団体の参加動機の一部に、1970年代の日本の状況と類似した項目を得られた。また調査年であった2018年時点で運営の担い手確保、フリーライド問題は発生しており、日本と同様の傾向にある可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度以降のコロナ禍および2022年度のウクライナでの戦争の影響による航空便の減便などにより、オランダでの追加的な調査が実施できていない。オランダの調査対象に関しては、メールおよびオンライン(Zoom)も検討したが、これまで調査先の団体の活動場所にて消費者会員を対象に直接交渉しながらインタビューデータを収集していたため、オンラインでは同様の調査をすることが難しく、海外での継続調査は3年続けて延期中である。そのため当初予定していた調査は遅れている。今年度は海外調査を実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、海外での対面でのフィールドワークを再開したい。それに伴う研究費使用を計画している。また文献調査での情報収集割合を高め、そのための研究費も使用計画中である。さらに、2022年度までの思想研究成果およびインタビューデータ分析の成果を、論文として投稿、さらに書籍執筆を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度~2021年度にかけてのコロナ禍およびにより、2022年度のウクライナでの戦争の影響による航空便の減便などにより、オランダでの調査が実施的できていない。旅費での支出がなくなったため、次年度使用額が大幅に増加した。 2023年度以降、海外での対面でのフィールドワークを再開し、それに伴う研究費使用を計画している。また文献調査での情報収集割合を高め、そのための研究費も使用計画中である。
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