研究課題/領域番号 |
18K11770
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
下嶋 聖 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (60439883)
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研究分担者 |
鈴木 伸一 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (70311272)
山崎 晃司 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (40568424)
関岡 東生 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00287450)
土屋 薫 江戸川大学, 社会学部, 教授 (60227428)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | GIS / リモートセンシング / ケラマジカ / レジリエンス / 慶良間諸島国立公園 / 景観変遷 |
研究実績の概要 |
ニホンジカの採食行動が起因と考えられる林業被害、高山帯での植生荒廃、農作物への被害等、全国で報告されるようになり問題化している。対策として環境省や各都道府県において生態系維持回復事業に位置づけて個体数調整を行っている。一方、島嶼環境に生息するシカにおいて、一部屋久島のヤクジカについては採食被害があるものの、北海道、本州で発生している被害ほど顕著ではない。本研究の対象地である慶良間諸島においても、集落内の農作物の食害は報告されているが、屋久島と同様な状況である。そこで本研究では、地理空間情報解析を活用した慶良間諸島の景観変遷の定量化とその変遷が島嶼環境下に生息するケラマジカの生態に与える影響について明らかにすることを目的とした。 15世紀に薩摩藩から琉球王朝にシカ20頭が移入されて以来、ケラマジカは約380年間の間に亜種として成立し、生態的にも稀少な存在となっている。また中国の使者をもてなす宴会料理の食材として提供され、琉球王朝が持つ地勢的背景に琉球文化を醸成する食材として受け継がれた。現在では、文化財保護法により特別天然記念物に指定されており厳格に保護されている。 慶良間諸島はマリンスポーツのメッカであり、折しも2014年に慶良間諸島国立公園が指定された。海の環境には関心は高いものの、陸域に生息するケラマジカに対してはむしろ害獣的存在となっている。ケラマジカは、ひとの介在により維持された動物であり、主体(ケラマジカ)と環境系(土地利用)との関係を明らかにすることで、ひととケラマジカとのつながりを再構築し、環境保全のあり方を提示することが可能となる。 本年度は、慶良間諸島の旧版地図、空中写真及び高分解能衛星画像を収集し、過去から現在までの土地利用変遷の把握を行った。得られた土地利用の変遷について、遷移確率行列を算出し、ケラマジカ生息環境の変遷の定量化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
土地利用の変遷の把握に必要なデータの収集は一部行え、ケラマジカ生息環境の変遷の定量化に向けた解析環境は整えた。一方、天候と校務の関係から現地調査の実施が行えなかった。解析結果に基づくグランドトゥルースが実施できず、現地検証が行えなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集可能な時期について、ケラマジカ生息環境の変遷の定量化に向けた解析を進め、解析結果に基づくグランドトゥルースの実施を行い、現地にて植生調査及びヒアリング調査を同時に行い、ケラマジカの生息環境の原単位の推定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は天候の関係上、現地調査を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は計画的かつ現地調査も代替実施日を設け、現地調査の実施の遂行にあたる。
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