研究課題/領域番号 |
18K11772
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
ロメロ・ホシノ イサミ 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (40579471)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | キューバ / 砂糖 / 冷戦 / エルネスト・ゲバラ / 岸信介 / 占領期 / 日・キューバ関係 |
研究実績の概要 |
今年度は、米国、キューバ、日本の史料館で集めた情報を整理し、筆者が所属する日本ラテンアテメリカ学会の『ラテンアメリカ研究年報』に論文に投稿した。最終的に、2019年夏に出版された。ここでは、1954年の日・キューバ通商条約交渉を史料に基づいて分析し、この交渉の失敗が日・キューバ関係と、日本の砂糖政策に及ぼした影響を説明した。ここまでの先行研究は、この問題点に触れていなかった。今回は、この政策形成過程の実証的な分析ができた。 次に、筆者が属するラテンアメリカ学会と同時代史学会で研究の政界を発表した。前者では、エルネスト・ゲバラの訪日を、今まで調べてきた史料で説明した。ゲバラ来日は、日本とキューバ革命政府が1960年に締結する貿易協定にとって大きな分岐点であり、この条約が「キューバ糖依存」を回避できない要因とされている。後者では、1954年の日・キューバ通商条約交渉の失敗から1959年のキューバ革命の勝利までの日・キューバの対立を史料分析で説明し、これが結果的に1960年代の親キューバ 路線にとって大きな要因であったことを説明した。 史料調査については、日本外交史料館の開示要請を行い、研究室の学生のサポートもあり、2020年夏までには、ほぼ全部が見れる状態になる予定である。特に、1960年代後半の対キューバ政策、国際砂糖協定における日本の政策、そして、台湾、フィリピン、豪州など、1960年代の重要な砂糖輸国への政策の史料が見れるようになる。 最後に2020年3月にキューバの外交史料館に調査に行く予定であったが、これが新型肺炎の影響で中止になり、研究のために必要な史料を見ることができなかった。令和2年度の国内・海外調査も困難となり、まだ残っている史料を基準に論文をひとつ執筆する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型肺炎の影響で、今年度に行く予定であった海外調査(キューバ)にはいけなかった。この状況は今年度も変わらないと考えている。 職場のルールで、当面、国内・海外出張はできない。その結果、予定していた東京にある日本外交史料館、去年度にいけなかったキューバの外務省史料館、そして今年度に行く予定の英国公文館 (研究計画ではワシントンと書いていたが、米国での史料調査が進んだので、国際砂糖協定の中心であった英国にシフトした)の史料調査はできない可能性が高い。 現在、できるのは、まだ読み終えていない日本と米国の史料(2018年の調査)を読み終え、先行研究の整理だけである。これができえば、論文をひとつ執筆できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
日本外務省史料館の史料開示の申請が終わり、2020年秋には全部が開示され、それの史料の写真が取れるようになる。これは研究にとっていい結果である。 しかし、新型肺炎の影響で、今後、どこまで史料調査をできるのかがわからない。 今年度は、研究計画を変える必要がある。学会発表ができず、国内・海外調査できないので、先行研究の整理と限られた史料を使って論文を書くことである。 来年度には、豪州に行く予定であったが、それを中止し、東京、キューバ、英国で調査を行う。そして再来年度には、豪州とキューバに調査をする。ただし、新型肺炎の影響で、それを実現することが困難となっている。場合によっては、科研の延長を申請する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
この金額は、2020年3月に行く予定であったキューバ出張の金額である。新型肺炎の影響で中止になった。しかし、現状が改善すれば、キューバに行く予定である。そのために、この金額を使用する予定である。
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