研究課題/領域番号 |
18K11777
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
東 悦子 和歌山大学, 観光学部, 教授 (00362856)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 移民の歴史 / 保存と継承 / 目録化 / 地域と大学 |
研究実績の概要 |
当初予定した海外調査は断念せざるを得なかったが、多数の移民を送出した和歌山県内の地域を訪問し、またメールやオンラインで海外在住の方々ともコンタクトをとりながら、アメリカおよびカナダへの移民に関する遺物や記憶の保存に努めた。 その成果は、展示会として、2020年10月16日~11月5日の間、和歌山大学紀州経済史文化史研究所展示室において、企画展「亜米利加へ、加奈陀へ―遺物と記憶から振り返る移民と和歌山」(紀州経済史文化史研究所主催)として公開した。またコロナ感染症拡大予防のために入場制限を講じたため、展示終了後より2020年3月31日まで、そのダイジェストをYouTubeで公開した。また、同展示会の共催機関・団体は、太地町教育委員会、美浜町、那賀移民史懇話会、NPO法人日ノ岬・アメリカ村、後援機関・団体は、(公財)和歌山県国際交流協会、わかやま南北アメリカ協会であった。このように多くの機関・団体のご協力を得て、連携を図っている。 次にカナダ移民に関する資料の目録化について、和歌山大学紀州経済史文化史研究所紀要41号に共著論文『移民資料の保存活動-アメリカ村カナダ資料館資料目録』を投稿し掲載された。これにより、資料館保有会社のご了承のもとに展示資料の目録化を行うことができた。 地域に存する移民に関わる団体と連携し、那賀地方からの米国移民の資料の目録化に取り組んだ。その成果は当該団体の代表や顧問の方々のご協力のもとに『移民県和歌山における移民をめぐる記憶と遺物の保存と継承~那賀地方における移民の記録~』として出版した。 以上、移民資料の目録化を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症拡大の影響を受け海外調査が叶わなかったため、おおむね順調と評価した。しかし、海外調査に代えて、地域の移民に関わる団体の方々と連携し、移民資料の整理と目録化に力を注いだ。また移民をテーマとした展示会も開催し、そのダイジェストはYouTubeでも公開することで、海外の方にも視聴していただけた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、地域の移民/移住に関わる機関や団体と連携し、移民した人々の遺物の保存や記憶の継承に資する取り組みを行っていく。それにより移民の歴史を後世へ伝えると共に、日系人の歴史から、現在、外国籍の労働人口が増える中、多様な背景を有する人々と共に暮らす社会への示唆を得、次世代を担う若者の関心も喚起していく必要がある。オンラインも活用し勉強会や交流会も開催していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ感染症の拡大により海外調査ができなかった。また人件費・謝金にも残額が生じた。 2021年度は、和歌山県の紀南地方、特に太地町からの米国移民を対象としたリーフレットの作成(日英)を行う予定である。また海外の日系人の方々との連携を深めるためにも、可能となれば海外調査を行う。しかし、その目途が立たないようであれば、オンライン会議やシンポジウムなど代替の企画によってネットワーク構築に努める。
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