研究課題/領域番号 |
18K11777
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
東 悦子 和歌山大学, 観光学部, 教授 (00362856)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移民の歴史 / 和歌山から北米 / 保存と継承 / 大学と地域 / 連携と協働 / 成果と公開 |
研究実績の概要 |
<研究内容>令和2年度に出版した和歌山県・那賀地方からの米国移民の資料目録『移民県和歌山における移民をめぐる記憶と遺物の保存と継承~那賀地方における移民の記録~』をベースとして、さらに同地の家庭が有している米国移民の資料整理を進めた。具体的には、米国に移民した人々と那賀地方の人々の間でやり取りされた絵葉書の整理である。 資料の整理に当たっては、地域の移民調査に取り組んでいる那賀移民史懇話会との連携を継続した。また、目録の入力作業などでは、学生の協力も仰いだが、太平洋戦争以前の資料に触れることから、学生たちが、学校教育では知る機会のなかった日本人移民の歴史に触れ、それへの関心を示す様子がうかがえた。 資料目録に加えて、移民に関する記憶の聞き取りにも着手した。令和4年度は、地域に設立されている移民の歴史に関わる団体の協力を得ながら聞き取りを進める予定である。
<成果と意義>目録化した資料(資料名:西家関連資料、梅田家関連資料、並松家関連資料、清水家関連資料)は、合計400点以上あり、各家庭で保存し続けることが困難となってきていたが、本活動を通して目録化が完了したことによって、和歌山大学紀州経済史文化史研究所(博物館相当施設)に寄贈された。このことによって、那賀地方の移民史資料の今後の散逸を防ぎ、将来に渡り保存していくことが可能となったといえる。今後、展示などを通して、学生や一般に公開し、資料を通して、和歌山県における移民史を語り継ぐことが重要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度も海外調査は叶わなかったが、資料の目録作業を継続できた。また、令和2年度の目録完成により、令和3年度に資料が大学に寄贈され、将来にわたる保存が可能になった。また、新型コロナ感染症の蔓延により、人と対面することが困難であったが、地域に組織された団体の協力により、わずかなタイミングを逃さず、縁者に移民した人がいる方への聞き取りに着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり、現在把握している資料の目録化の完了を目指していく。また、移民に関する地域の人々の記憶を書き留めていくため、聞き取りも進めていく予定である。可能であれば、海外調査により、オンラインで対応が困難な、主として高齢の人々の聞き取りに努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
①新型コロナ感染症が蔓延する中、学生や一般の方に研究協力を依頼する機会がごくわずかとなったこと。また、移民に関連する団体の方々との連携によって、人件費・謝金をほとんど消化せずに資料整理が進んだ。 ②令和3年度も海外渡航が不可能であったため、渡航費の予算も次年度使用額として残った。 令和4年度の主な使用計画は次の4点である。①資料整理の継続に係る人件費、②移民に関する勉強会の開催とそれに係る人件費、③成果物としてリーフレットなどの作成、③可能な時期に海外調査を実施する。
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